ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

100万人の起業のチャンスを拓け!
35歳未満が35%、若者ほど起業に熱心
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第56回】 2012年3月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

不況で若者は本当に保守化するのか?
起業希望者の3割は35歳以下の若者

 景気が悪くなると、若者たちがますます保守化すると言われる。「寄らば大樹の陰」で、大企業・安定企業への就職を希望する。卒業後に正社員になれなかった若者が非正規化して、低所得層を累増させていく……日本経済の未来は真っ暗。

 いかにも、日本を自虐的に見たがる人の好みそうなストーリーだ。

 日本社会には、別の鉱脈があることを忘れてはいけない。新しく起業をしたいと志す人数は、100万人を超えている。確認できる統計データでは、2007年までに起業を希望する人が135万人もいる(図表1参照)。

 2002年は144万人、1997年は239万人もいた。最近になって総数が減っていることは事実だが、まだ膨大な起業予備軍がいることを軽視してはいけない。

 興味深いのは、135万人の起業希望者の中で、35歳以下が48万人で、全体の35%の割合を占めていることだ(図表2参照)。人数としては、35~45歳未満の起業希望者も多く、43万人で32%となる。

 135万人のうち、男性は108万人(80%)で、女性は27万人(20%)という割合になる。若い人は、人生の中で失敗を相対的に恐れず、チャレンジすることを希望するということだ。

 一般的に、人は年をとるほどに自分で稼げるスキルを高めるが、その半面、地位に甘んじて冒険はしなくなると言われる。

 しかし、起業を志望する人の所得分布を調べると、すでに相対的に高収入を得ている人たちが、さらに自分の稼ぎを増やそうとして起業を望んでいる。必ずしも、起業志向が「無謀な賭け」だと切り捨てるのは、正しくない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧