あえて成長しない、「確信犯的」部下の存在

「本来もうこのステージの役割を期待しているのに、なかなかそういう動きをとってくれるようにならない」という部下はいませんか?

 こういう部下には、いくつかのパターンがあります。
  中堅社員の後輩指導を例にとってみましょう。

  • 部下Aさん:若手社員から中堅社員と見られるようになってきたばかりで、「後輩指導を積極的に行ってほしい」と周囲から思われ始めたこと自体に、まだ気づいていない状態
  • 部下Bさん:Aさんと同じような期待は理解し、指導しようとしているものの、後輩とうまくコミュニケーションが取れなかったり、指導方法に問題がある
  • 部下Cさん:周囲の期待は薄々感じてはいるものの、自分の忙しさや面倒だという気持ちから「まぁやらなくてもいいだろう」と指導しようとしない「確信犯的」部下

 このような部下に対し、ステージを転換させ、次のステージの役割が担えるように向かわせることも、大切なマネジメントです。

 逆に言えば、これができない組織では、職場がギスギスしたり停滞したり、組織全体のパフォーマンスが落ちたりする恐れもあるのです。

 とりわけ、Cさんのような「確信犯的」部下は、放置してしまうと職場全体の人間関係を悪くし、若手のやる気を損なわせる原因にもなりかねません。

 そういった意味からも、次のステージへ部下を上げること=トランジションの重要性について理解していただけるのではないでしょうか。

次のステージへ行くには

 改めて「各ステージの役割」を見直しましょう。

1. スターター(Starter/社会人):ビジネスの基本を身につけ、組織の一員となる段階
2. プレイヤー(Player/ひとり立ち):任された仕事をひとつひとつやりきりながら、力を高める段階
3. メインプレイヤー(Main Player/一人前):創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成する段階
4. リーディングプレイヤー(Leading Player/主力):組織業績と周囲のメンバーを牽引する段階

 たとえば3.メインプレイヤーから4.リーディングプレイヤーなど、あるステージから次への移行は、決して簡単なものではないことが分かります。

 業務の知識やスキルを身につけるというだけでなく、移行においては、仕事の仕方そのものや、持つべき視界の広さなど、本人の意識や態度、価値観、姿勢といったところまで変化し成長してもらう必要があるからです。

 同じ一般社員であっても、ある時点で大きな転換を求められることを、まずマネジャーは理解しなければなりません。

 このトランジションの過程において大事なのが、「伸ばす」マネジメントと「抑える」マネジメントです。