朝鮮半島情勢が大きく動いている。トランプ大統領が金正恩に会うと決定した直後、今度は安倍総理が日朝首脳会談に向けて動き出した。さらに中朝首脳会談が電撃開催され、南北首脳会談も予定されている。安倍総理は存在感を示したい誘惑にかられるだろうが、拙速に動けば、日米関係を破壊するかもしれない問題行動である。(国際関係アナリスト 北野幸伯)
日米関係を破壊しかねない
安倍総理の動向
北朝鮮問題が、「対話路線」で大きく動いている。金正恩は1月1日、韓国と対話する準備があると声明を出した。1月9日には、実際「南北会談」が再開された。その後、金は3月5日、訪朝した韓国特師団と会談。「4月末に板門店で南北首脳会談を開催する」ことで合意した。
3月8日、驚きのニュースが米国からもたらされる。なんと、トランプが「金正恩に会うことを決めた」というのだ。日本政府は大きな衝撃を受けた。事前に何の相談もなかったからだ。日本ではこの決定について、「頭越しに」「日本は蚊帳の外」といった嘆きの声が聞かれる。
それでも、安倍総理はトランプの決断を支持した。
<10日の別のツイートでトランプ大統領は、安倍晋三(ShinzoAbe)首相は米朝首脳会談に「とても熱狂的」だったと述べた>(読売新聞3月9日)
しかし、総理は直後に、トランプに嫌われても仕方ない決断をする。「トランプが金正恩と会談するなら、俺も会談する」と、日朝首脳会談実現に向けて動き出したのだ。
<日本政府、北朝鮮との首脳会談を模索へ=政府関係者
ロイター 3/13(火) 22:28配信
[東京 13日 ロイター] - 南北会談と米朝会談が開かれる見通しになったことを受け、日本政府も北朝鮮との間で首脳会談を模索する考えであることがわかった>
その後、金は25~28日の日程で中国を訪問し、26日には習近平と初めて会談を行ったが、これも日本政府にとっては想定外で、「日本は置き去りにされているのでは」との疑念が渦巻いている。
安倍総理が日朝首脳会談を成功させ、しっかりと存在感を示したいと焦るのも理解できる状況にはなっている。しかし、実をいうと、これは日米関係を破壊しかねない大問題なのだ。