中小企業の間でも事業用リースバックの活用が広がる理由  

「大口案件が急に入ったが手元資金が足りない、追加融資を受けたいが借入枠がいっぱいで融資が下りない。そんなときに、保有する不動産を有効活用していただくのが事業用リースバックです」

そう語るのは、セゾンファンデックス不動産事業部リースバック営業部の有山課長だ。同社はクレディセゾングループの一員で、不動産活用を軸としたファイナンス事業に強みを持ち、リースバックについての問い合わせが法人・個人合わせて年間1万6000件超(2024年度)に上る業界大手である。

事業用リースバックとは、企業が所有する不動産をリースバック会社に売却して現金化しつつ、そのまま賃貸借契約を結んで使い続けることで、事業の拠点を移さずに資金を確保できる仕組みのこと(図1参照)。冒頭で触れたように、大企業だけでなく中小企業にも活用が広がっている。その背景について、有山課長はこう説明する。

「赤字や業績低迷に対応するための財務改善、借入を増やすことなく、運転資金や設備投資のための手元資金確保といった目的で利用される企業が多くいらっしゃいます。また、働き方改革によるリモートワークなどの普及で、オフィススペースを見直す目的で利用される企業も一定数あります。さらに、後継者不在や相続などの事業承継問題への対応として、資産を整理してキャッシュ化するために利用される企業もいらっしゃいます」

本社を売却しても退去せずにそのまま事業を継続できる

事業用リースバックを活用する最大のメリットは、場所を変えずに事業を継続できることだ。例えば、本社を移転するとなれば、引っ越しや新たにインフラを整備するための費用、住所変更に伴う膨大な事務手続き、さらには取引先や顧客への告知など、多大なコストと労力がかかる。信用やブランドイメージへの影響も無視できない。事業用リースバックであれば、売却後も従業員は同じデスクで働き続けることができ、対外的にも何も変わらない。

加えて、所有権の移転に伴い固定資産税の負担がなくなる。毎月の賃料は全額経費として計上できるため法人税の軽減にもつながり、不動産をバランスシートから外すオフバランス化によって財務指標の改善効果も期待できる。売却代金は一括で支払われ、使途にも制約がないため、運転資金や成長のための設備投資、ローンの返済、税金の支払いなど自由に活用できる。

資金化のスピードも大きな強みだ。銀行融資では審査に1〜2カ月、本部決裁が絡めばさらに時間がかかることもある。一方、セゾンファンデックスの事業用リースバックは書類が整えば最短2週間程度で契約が完了する。通常の不動産売却でも1〜2カ月はかかることを考えると、その差は歴然だ。有山課長は「他の資金調達手段と比べて、緊急の資金ニーズにも迅速に対応が可能です」と優位性を強調する。

月々のキャッシュフローが70万円改善した事例も! 中小企業の資金調達の新たな選択肢「事業用リースバック」とはセゾンファンデックス
不動産事業部 リースバック営業部
有山 課長

セゾンファンデックスの事業用リースバックには、見逃せない重要なポイントがある。「普通賃貸借契約」と「買い戻し」の仕組みだ。

他社の事業用リースバックでは定期借家契約とされているケースも多く、3年や5年といった契約期限が来れば退去を求められる可能性がある。有山課長は「当社は原則として普通賃貸借契約ですので、お客さまが希望される限り更新ができ、継続して使い続けることができます。更新手数料もかかりません。そのため長期的な視野で事業計画を立てていただけます」と契約形態の優位性を強調する。

一方で、所有権を手放すことに不安を感じる経営者は少なくないという。「そこで、不動産を手放すことに心理的なハードルを感じている方には、買い戻しの選択肢があることをご案内しています。時間をかけて業績を回復し、再び自社所有とすることも可能です」(有山課長)。事業用リースバックで買い戻しという選択肢を提供していることも、同社の大きな特徴といえる。

毎月70万円のキャッシュフロー改善を実現した企業も

実際の活用事例を見てみよう。事例1の東京都中央区に一棟ビルを所有する社員数約20人の小売業の法人は、売上高約10億円ながら不動産担保ローンの残債5800万円を抱え、月々の返済額は92万円。固定資産税も年間約66万円に上った。そこで同社は事業資金の確保とキャッシュフロー改善のためにリースバックを活用、ビルを1億4500万円で売却し、月額賃料55万円で契約。残債を完済した上で約8800万円の事業資金を確保し、毎月のキャッシュフローも固定資産税の負担減を含めて42.5万円改善した。

事例2の東京都渋谷区に一棟ビルを所有するコンテンツ制作会社は、社員数約20人、売上高約6億円。大口案件への対応で急きょまとまった資金が必要になったが、不動産担保ローンと無担保ローンを合わせた毎月の返済額はすでに150万円に上り、追加融資は困難な状況だった。リースバックで2億5000万円の売却を実現し、月額賃料90万円で事業を継続。約1億円の事業資金を確保しつつ、毎月約70万円のキャッシュフロー改善を果たした。同社は現在、本業に集中できる環境を取り戻し、将来の買い戻しに向けた計画を立てているという。

事例3は、東京都新宿区に小さな店舗を所有する飲食業の事業者である。追加の事業資金と内装工事費の確保が経営課題だったが、リースバックで3050万円の売却を実現。残債750万円を完済した上で2300万円の事業資金を確保し、月額賃料14万円で事業を継続した。毎月のキャッシュフローは、固定資産税の負担減を含めて約13.7万円改善され、限られた資金の中で経営の選択肢が広がったという。

幅広い物件に対応する戦略的な財務改善の手段

事業用リースバックの対象物件は、本社、事務所、工場、店舗、社員寮、作業場など幅広く、個人名義の物件も対象となる(図2参照)。実際に工場のリースバック案件は多いという。抵当権が付いている場合も、売買代金からの完済が可能だ。手続きも必要最低限の書類で済み、問い合わせから物件の査定、面談・現地調査を経てスムーズに契約へと進む。

同社は今後、不動産業者や金融機関との連携をさらに強化し、事業用リースバックの認知拡大を図る方針だ。

事業用リースバックは、事業を止めることなく財務体質を改善できる戦略的な手段といえる。財務状況が悪化すると追加融資は困難だが、事業用リースバックは借入ではなく売却なので、企業の信用力に左右されず、不動産の価値に基づいて迅速に現金化できる。財務指標の改善や法人税の軽減効果も加わり、総合的な財務改善の手段として機能する。

「今ある資産を、未来を創るための資本に変えていただきたい」という有山課長の言葉は、資金繰りや財務改善に悩む中小企業経営者にとって、新たな一歩を踏み出すきっかけとなるだろう。

●問い合わせ先
株式会社セゾンファンデックス
〒170-6037 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 37階

セゾンファンデックスの事業用リースバックの詳細はこちら
https://www.fundex.co.jp/business/leaseback/
問い合わせ先電話番号:0120-155-465(平日9:00~17:30 土日祝は休み)