ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
山田厚史の「世界かわら版」

テイン・セイン大統領はゴルバチョフか?
「開花」寸前のミャンマー事情を読む

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第5回】 2012年3月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 アジアの発展から取り残されたミャンマーが変貌している。軍事政権が「国民的和解」へと舵を切り、アウンサンスーチーさんも応じた。「民主化路線はどこまで本物か」という疑いの目もあるが、軍籍を離脱したテイン・セイン大統領は本気のようだ。

軍政を温存しながら
「民主主義」の装いをまとう

 テイン・セインは軍序列のナンバー4から政治の舞台に転じた。守旧派が根強い軍の既得権を剥奪する改革をどこまでやり抜けるのか。軍の巻き返しで振り出しに戻った改革は以前にもあった。テイン・セインに、ソ連の共産党独裁に終止符を打ち、失脚したゴルバチョフのイメージが重なる。

 社会の「開花期」には様々な勢力が拮抗する。日本に必要なのは「本物か」を探ることではない。逆流しないよう改革勢力を側面支援することである。

 昨年発足した議会は、軍人が無選挙で定数の4分の1占め、残りが選挙で選ばれる。憲法改正は4分の3が必要で、民選議員がこの制度を変えることはまず不可能だ。民政移管というが、非常時には軍が実権を握るようになっている。軍政を温存しながら、選挙・議会という「民主主義」の装いをまとった制度である。

 それでも議会が発足し、議場で国政が話し合われるのは画期的で、「開花」へ大きな前進である。4月1日には補欠選挙があり、スーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)から多数の当選者が出るだろう。公正な選挙ができるか、国際社会は注目している。選挙が問題なく行われれば、米国による経済制裁は緩和され、外国からの支援に弾みがつくだろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


山田厚史の「世界かわら版」

元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

「山田厚史の「世界かわら版」」

⇒バックナンバー一覧