東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか? ヒト以上にやさしいAIは登場するか? ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)
IoTとユビキタスは何が違う?
今回のテーマは、みなさんも名前だけは聞いたことがあるであろう「IoT」です。
IoTとは、「Internet of Things」の略で、直訳すれば「モノのインターネット」ということですが、「あらゆるモノがインターネットに接続された世界」のことです。
IoTという概念は以前からあり、私事で恐縮ですが、私は2006年1月に地上波で放送された「IT その扉の向こうに」という番組の司会を仰せつかりました。そして、このときすでに、ゲストの「IT界の賢人」たちとIoTについて熱く語り合っています。
もっとも、その頃はまだ「IoT」という言葉はなく、「ユビキタス」と呼ばれていました。
ちなみに、ユビキタスは「偏在」「いつでもどこでも存在すること」を意味する用語。当時は、「いつでもどこでもインターネットを利用できる。そのためには、あらゆるモノがインターネットに接続されている必要がある」という意味で使われていました。
ただし、それから12年も経過するのに、ユビキタス、いえ、IoTはなんら実現していないように私は感じます。
そう思う理由を述べる前に、厳密には「ユビキタス」と「IoT」は、次の2点で異なる概念であることを整理させてください。
(1)IoTとは、人が機械に指示を出すのではなく、機械が自分で指示を出す世界
(2)IoTとは、売買決済に人の手を介さない世界
ちなみに、賛否両論ある仮想通貨ですが、この(2)のシーンで活用されることが期待されており、また、そうなると信じている人が仮想通貨に投資しているわけです(もっとも、単なるギャンブル感覚の投機家も多数いますが)。