改めて振り返ると、新人時代の「売れない自分」がいたからこそ、トップセールスを続けられたのだと思います。もし、いま売れずに悩んでいても大丈夫です。ゼロセールスの辛さを知っていることが、きっと役に立つからです。ゼロセールスは、トップセールスになれる近道かもしれません。
日本一BMWを売った「伝説のセールスマン」と呼ばれて
私は、新車輸入車販売のトップセールスマンとして30年を超える経験を持っています。BMWというクルマを平均すると毎年100台以上売り続け、おかげさまで、日本で最初に1000台売ったセールスマンとなりました。最も売っていた年には、3日に1台ペースでした。そのおかげで「日本一のセールスマン」とか「伝説のセールスマン」といった過分な評価をいただいたこともありました。
BMWに移る以前のリンカーン、ジャガーなどを売っていた時期を含めると、輸入車の新車ばかり、累計で2600台を超える台数を買っていただいたことになります。
BMWを辞めたいまでも、長くお付き合いいただいているお客様から「また、あなたから買いたい」と、ありがたいご連絡をいただいています。
なんのコネもなく、クルマのことをなにも知らないところからスタートし、ただひたすら一生懸命やってきた私を、たくさんのお客様が支えてくれたからこそ、トップになれたのだと感謝しています。
1台も売れなかった苦悩の7ヵ月
しかし、私も最初から売れたわけではありません。丸紅モータースに新卒で入社した1年目、同期入社の仲間が次々に売上げを上げていく中で、一人だけ1台も売れずに「辞めるしかないかな」「クビになるのかな」と不安な7ヵ月を過ごしました。
毎日100件を目標に飛び込み営業を続けていましたが、暑い夏が過ぎても1台も売れませんでした。雨の日も、必死に歩き回りました。半蔵門から四谷、新宿。さらに渋谷、青山も歩きました。その頃、靴を毎月1足、履き潰していました。ひたすら人に声をかけ、名刺を出しました。名刺を受け取っていただけるのはいいほうで、目の前で破かれることさえありました。
買っていただけるに違いないと思って毎日、朝、昼、晩と通ったお客様から「今回は、あなたからは買えない」と言われ、悔しい思いもしました。とうとう新入社員でゼロセールスは私だけになっていました。