自民・公明党は19日、郵政民営化法改正案の共同提出に向け、実務者協議を行ったという報道があった。焦点は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社の株式の扱いだ。それに関して「金融2社の経営状況等を勘案しつつ、全株を処分する」とし、一定の条件付きで完全民営化の道を残すと報じられている。

自民・公明党も
基本方針を変更

 郵政民営化の具体的な制度設計(法案作り)を担当した筆者にとっては、かなり意外な話だ。

 前々回の総選挙において、国民は、郵政民営化に対し大きな支持を表明した。だから、自民・公明党は郵政民営化の基本方針を堅持することは当然であると思っていた。そのキモは、金融2社の完全民営化である。しかし、報道では、一定条件付きで完全民営化となっており、裏を返せば、一定条件以外では完全民営化しないということだ。

 そこで、どのような条件かと関係者に聞いていると、金融のユニバーサルサービスにぶち当たった。民主・国民新党が金融2社の株式保有にこだわるのは、金融2社が完全に民営化したときに、それに金融のユニバーサルサービスを義務付ける根拠を失うからだという。

 そこで、公明党は、日本郵政を含む郵便事業会社側に金融のユニバーサルサービスを義務付けることを考えている。そして、金融のユニバーサルサービス提供のため、金融2社の完全民営化を行わないというわけだ。このロジックからいえば、完全民営化は金融のユニバーサルサービスを行わない場合となるわけで、それが条件となる。

 ここで、ユニバーサルサービスとは(1)国民生活に不可欠なサービスであって、(2)誰も利用可能な料金など適切な条件で、(3)あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供の確保が図られるべきサービスと定義される。電気、ガス、水道、郵便、通信などの分野で規定されている。