邪魔にはされないが、
必要ともされない存在になる
「定年になったら再雇用がある」
60歳はまだまだ元気ですから、そう思う人が多いと思います。
平成25年に継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止するという制度改正があったこともあり、「65歳までの継続雇用制度の導入」に加え、「定年制の廃止」「65歳までの定年の引き上げ」のいずれかの措置を実施する企業は確かに増加傾向にあります。平成29年に厚労省が行った調査では、定年制の廃止を行った企業は全体の2.6%にとどまっていますが、65歳定年は15.3%あり、70歳以上まで働ける企業は22.6%となっています。
しかし、たとえ定年が65歳になったり70歳まで働けるといっても、シニアにとってバラ色かどうかはケース次第です。例えば50代半ばから役職を後進に譲らなければいけない役職定年を制度として設けている企業も少なくなく、この場合、継続雇用されてはいますが、処遇は大幅にダウンするのが一般的です。さらに、管理職としての仕事は継続されるわけではありません。
冒頭の3つの制度のうち、「継続雇用制度の導入」企業の割合が以前として79.1%と高く、実際の60歳定年企業の定年到達者のうち、継続雇用された人の数は84.1%という結果が出ています。雇用継続=処遇継続ではないのです。
定年後再雇用は本当に魅力的なのでしょうか。今まで慣れ親しんだ職場に席があり、そこそこの給与も継続してもらえるという点では魅力的と言えるかもしれません。処遇ダウンも権限剥奪もなんら気にならないのなら、それでもいいかもしれません。
しかし、それは本当に居場所があるといってもいい状態なのでしょうか。その居場所の居心地は心地よいといってよいのでしょうか。