財務省が、分割して創設される「歳入庁」を足掛かりに権力奪還を目指しているとの見方も

疑惑が次から次に浮上し、一敗地に塗れた財務省。そこに、かつての「最強官庁」の姿は見る影もなくなった。もちろん財務省への集中砲火はまだしばらくの間続くだろう。20年前に起きた大蔵省接待事件が引き合いに出され、「財務省分割案」まで出始めている。DOL特集「財務省解体の危機」最終回は、財務省の今後について考えていくことにする(ジャーナリスト 横田由美子)

相次ぐ不祥事で財務省に分割論
歳入庁創設構想が再浮上

 20年前の財務省(当時は大蔵省)は、今では想像もつかないほど強大な権力を持っていた。それが、大蔵省接待汚職事件をきっかけとして、その力をそぐため、証券局と銀行局が財務省から切り離され、「金融庁」に分離された。

 そして今、再び財務省の分割案が浮上している。それは、徴税を担当する国税庁を分離させ、年金や健康保険などの社会保険料の徴収をセットにした「歳入庁」を創設するというものだ。

 歳入庁構想自体は、10年近く前から出ていたが、これまでホットトピックになることはなかった。しかし今回、財務省は公文書改ざんという大きな“罪”を犯した。死者も出した。そうしたさなかに、次官がセクハラ騒動まで起こした。そのため、改めて財務省を分割すべきという議論が巻き起こっているのだ。