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Facebookのデータ不正流用から
企業が学ぶべきこと

――ソフトウェア業界団体BSAに聞く

末岡洋子
【第173回】 2018年5月22日
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Facebookのデータ不正流用は、我々がデータエコノミーの時代に生きていることを実感させる事件となった。Facebook上でデータを共有すると、そこから先は自分のデータが管理できないという不信感も一部から出された(Facebookはユーザーが自分のプライバシーを管理できるツールを提供している)。データの価値が高まる中、「国境を超えてデータが流れる仕組みが必要」というのは、ソフトウェア業界団体のBSA(The Software Alliance)のプレジデント兼CEO、Victoria A. Espinel(ビクトリア A. エスピネル)氏だ。Espinel氏にデータ時代の課題について聞いた。

データのやり取りはすでに
物品よりも経済効果が大きい

BSA The Software Allianceのプレジデント兼CEOを務めるVictoria A. Espinel(ビクトリア A. エスピネル)氏。オバマ政権では初代知的財産執行調整官としてアドバイスする立場にあった。女子学生のSTEM教育活動Girl Who Code活動にも積極的に取り組む

 BSAは、Apple、Microsoft、Salesforce.comなど約100社のハイテク企業が加盟する業界団体だ。加盟企業のニーズを代表して、各国政府と話し合いを持ち、政策の方向性について提言するなどのことを行う。主軸はソフトウェアイノベーションだが、ここ数年はその中でもデータに大きくフォーカスしている。

 データが石油に代わる重要な資源と言われて久しい。「AI、ブロックチェーン、データ分析、クラウドコンピューティングなど、企業が今後シフトしていく製品やサービスは全てデータに依存している」とEspinel氏。ほとんどの場合、世界中のデータを使い、いかに効率よく動かすかが重要となっている。

 例えばデンマークの海運大手Maerskは、米IBMとジョイントベンチャーを立ち上げ、ブロックチェーンを中心とした貿易のデジタル化を進める。「これにより紙ベースの作業を削減でき、気候や港の混雑状況などに合わせてリアルタイムでサプライチェーンの効率化を進めることができる」とMaerskから新しいベンチャーのトップに就任したMichael White氏はIBMのイベントで語った。また、農業では天候データが重要だが、気象データは国境に止まらない。ヘルスケア、医薬の研究などもデータが国境を越えることでメリットを受けるし、警察機関が国境を超えてデータを共有することで、サイバーと物理の両方の空間で犯罪者の発見が高速になる。

 McKinseyの調査では、データが流れる(フロー)ことにより生まれる利益は、2014年時点で世界のGDPの2兆8000億ドルを占めているとしている。国境を超えたデータのやり取りは、物資の貿易よりも大きな経済的効果を生んでいるという。

 だが一部の国ではデータを自国内にとどめ、ほかの国に移動させてはならないというルールを敷いている。その国でビジネスがしたければ、その国にデータセンターを構築してデータを保管しなければならない。多くの場合が、国内企業を優先する保護主義が背景にあるという。Espinel氏は、国家保安など特別な状況は理解できるとしながら、「政府はデータを世界中で動かせるポリシーをデフォルトとすべきだ」と述べる。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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