個人情報の悪用問題で社会的な批判にさらされる米フェイスブック。EUでの個人情報保護強化の流れも相まって、その高収益の体制も揺らぐ可能性が高まっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

「ご承知の通り、決算の前にお話ししなければならないことがあります。海外からの選挙介入やフェイクニュース、ヘイトスピーチやデータのプライバシーについて、われわれのツールがあしき目的で使われるのを防げませんでした」──。

 前年同期比で売上高が49%増という最高の決算にもかかわらず、4月25日の米フェイスブック(FB)の2018年第1四半期決算の電話会見は、マーク・ザッカーバーグCEOの謝罪で始まった。

 ザッカーバーグCEOが英データ会社、ケンブリッジ・アナリティカ(CA)によるFBデータ悪用問題に関して、10時間にわたり米議会公聴会で糾弾されたのはこの2週間前のこと。公聴会後初となる決算で、投資家の質問はCA事件と今後施行される個人情報の取り扱いを厳格化する欧州連合(EU)の法律、GDPRの影響に集中した。「“滅亡の日”のシナリオはあるのか」という質問まで飛び出した。

 月間21億人が使う(図(1))世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるFBは、売上高のほぼ全てが広告事業で成り立つインターネット広告会社でもある。

 FBと米グーグル(アルファベット)は、2社で世界の広告市場全体の20%、ネット広告市場の50%を握り、特に米国ではデジタル広告市場の65%を寡占する。

 中でも、FBの米国広告市場での存在感は大きく、日本では想像しづらいが「テレビCMよりもFB広告を選ぶ」という行動が大手企業にも浸透しているほどだ。

 FBの広告事業はグーグルの半分程度の売上高だが、17年の成長率は前年比47%。20%のグーグルの倍以上だ。