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「超」入門 失敗の本質――日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
【第3回】 2012年4月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
鈴木博毅

日本からジョブズが生まれない4つの理由。
戦時中から変わらない日本的組織の謎

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今、再び脚光を浴びる古典的名著『失敗の本質』。日本軍の組織的敗因を分析した同書は、現代の日本企業の閉塞感の原因も大いに示唆している。当初、無敵を誇った零戦が米軍に攻略されて打ち落とされたように、かつて世界を席巻した日本企業もまたグローバル競争の中で敗北を喫したまま、いまだ浮上できていない。なぜ日本は最初の善戦むなしく、最後には敗れてしまうのか。なぜ、日本から新しいイノベーションは生まれにくいのか。その原因は、日本的組織の特性と密接な関係がある。連載第3回は、イノベーションの芽をつぶす日本的組織について。

日本が陥る閉塞感と、
日本的組織の根深い関係

 日本企業が苦戦しています。
  2012年3月期の決算で、日本を代表する家電メーカーであるパナソニック、シャープ、ソニーがそろって大幅な赤字であることが報じられたことは皆さんの記憶に新しいと思います。パナソニック7,000億円、シャープ2,900億円、ソニーは2,200億円という巨額の赤字です。

 昨日(4/10)は、その見通しも下方修正され、ソニーは5,200億円、シャープは3,800億円の最終赤字が発表され、ソニーの1万人規模のリストラも話題となりました。

 一時は世界市場を席巻した日本の家電メーカーは、なぜこのような苦境に陥ってしまったのでしょうか?

 かつて日本製DRAM(メモリ)が世界シェアの1位だった時期があるにも関わらず、日本に唯一残ったDRAM専業メーカーのエルピーダメモリは、今年2月に会社更生法を申請。現在は支援企業の応札が行われています。

 なぜ「高い技術力を誇る」と言われる日本企業が今、市場で敗北を重ねているのでしょうか?

 一方でiPhone、iPadなどの大ヒット商品を展開するアップルは、昨年2011年8月には時価総額世界一の企業となり、現時点でもアップル製品は世界中で高い人気を誇っています。昨年11月に死去したアップルの元CEOで伝説のイノベーターであるスティーブ・ジョブズの自伝は日本でもベストセラーとなりましたが、多くの日本人がジョブズやアップルの起こしたイノベーションに強い関心を示している証拠かもしれません。

 日本企業は技術で勝ちながらも、イノベーションを起こすことができず事業(販売)で負け続けているとよく言われますが、この指摘は正しいのでしょうか? ならば、どうすれば日本企業は再び競争力を取り戻せるのでしょうか?

失敗の本質~日本軍の組織論的研究』 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝夫、村井友秀、野中郁次郎・著 左:単行本(ダイヤモンド社) 右:文庫版(中央公論社)

 名著『失敗の本質』は、日本にイノベーションが起きづらく、組織としてイノベーションの芽をつぶしてしまう根深い問題があることを明らかにしています。今回は、『失敗の本質』が解き明かした日本的組織の特性とイノベーションの関係について紹介しましょう。

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鈴木博毅 

1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting代表。貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略書や戦争史、企業史を分析し、ビジネスに活用できる新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。顧問先には顧客満足度ランキングでなみいる大企業を抑えて1位を獲得した企業や、特定業界で国内シェアNo.1の企業など成功事例多数。日本的組織論の名著『失敗の本質』をわかりやすく現代ビジネスマン向けにエッセンス化した『「超」入門 失敗の本質』(ダイヤモンド社)は14万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に、『企業変革入門』『シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術』(日本実業出版社)、『戦略の教室』(ダイヤモンド社)、『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(マガジンハウス)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)、『この方法で生きのびよ』(経済界)、『君主論』(KADOKAWA)などがある。

 


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