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デジタル大変革時代 部品メーカーの生きる道

日本の部品メーカーが
生き残るために真っ先にやるべきこと

PwCコンサルティング
【第1回】 2018年6月8日
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 自動車のEV化などの影響を受け、部品の激減・消滅を危惧する機械系部品メーカー、VHS、CD、LD、MDといったAV機器の衰退を経験してきた電機系部品メーカーなど、多くの企業が環境変化に対応すべく、新規事業開発などに新たな活路を見出そうとしている。しかし、長年の取り組みにもかかわらず、期待した成果を出せず苦戦するケースも多い。顧客にどのような価値を提供すればよいか? 自分たちはどのような姿を目指すべきか?多くの企業が悩みを抱えている。

 では、苦境を打開し、未来を創造していくためには何が必要だろうか。その道筋について案内できればと考えている。実は、新規事業開発の定石とも言える基本的なポイントを押さえるだけでも大きな効果があると私たちは考えている。有益な情報は世の中にはあふれている。残念なのは、その大半が完成品メーカー、コンシューマービジネス向けにまとめられていることだ。部品メーカーの方からは「自分たちに合う情報が少ない」という声をよく聞く。そこで、本連載では全6回にわたり、部品メーカーの方々にもわかりやすい形で、新規事業による未来創造を進めていく方法を紹介していきたい。

業界特性に絡む3つの要因が
新規事業の足かせに

新井本昌宏(にいもと・まさひろ)
PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー

メーカーにて生産技術、研究開発に従事。その後、複数のコンサルティングファームを経て、2014年10月から現職。現在までに、機械、電機、部品、食品、医薬品等の製造業並びに建設業における新規事業開発、技術戦略策定、研究、開発、設計、生産技術、品質保証、プロダクトデザイン領域の業務改革等のコンサルティングを数多く経験。経営から現場までの一貫性と、事業と技術の整合性を重視し、短期的な成果の獲得と、中長期的に成果を獲得し続ける組織能力向上を同時に支援する。

 新規事業開発に取り組む部品メーカーの実務の現場では、いったい何が起きているのだろうか。長年、部品業界のさまざまな企業に対し、新規事業開発の仕組み構築やプロジェクト推進などのコンサルティングを提供してきた経験から、新規事業開発に取り組む部品メーカーで起きている代表的な事象を挙げてみたい。

●「手ぶらでは顧客のニーズを確認できない」と考え、製品のプロトタイプを開発してからニーズの確認を行っている
● 顧客にニーズを確認して開発を開始したが、担当者の異動など顧客の状況変化により開発がとん挫した
●ある顧客にニーズを確認して開発を行い、その顧客への販売はできたが、販売を見込んでいた他の顧客には全く売れず、投資を回収できなかった
●新規事業の領域に販売チャネルを持っていなかったため代理店販売を開始したが、代理店が営業に力を入れてくれず、販売が伸び悩んだ
●既存の部品事業ではアカウント別の営業担当が顧客への売り込みや問い合わせ対応をしていたのに対し、新規事業では不特定多数を対象とした販売促進活動(広告宣伝など)や問い合わせ対応(コールセンターなど)が必要になったが、資金やノウハウが不足のため、十分な体制を整備できなかった
●新規事業として完成品の製造に取り組む場合、商品のネーミング(部品事業では品番設定のみで事足りた)や、最終製品としての品質管理など、未知の領域の多さに困惑した

 このようなことが起こってしまう要因はどこにあるのか。筆者らは、部品メーカーの特性に関連する3つの要因があると考えている。

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日本のモノづくりを支えてきた部品メーカーが、デジタル大変革時代に岐路に立たされている。これまでの製品メーカーからの発注を待つ受け身の姿勢を変え、自ら未来を想像する発想の転換と実行態勢の構築が求められるが、具体的な方法論が見いだせない。この状況を打破するためのヒントを提供する。

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