客席と一体化する
韓国ミュージカル

野島:そういえば、パルレって一時、定番のデートコースとして有名になったんです。

Yumi:へえ。若いカップルが来るんですか?

野島:そうです。僕が演じているソロンゴが、花を1輪持って、「きれいだね~」って歌いながら、ナヨンという女の子に花をプレゼントする場面があるんですよ。

それで、僕がその歌を歌っているときに、客席にいる彼氏が、僕と同じように彼女に花を1輪プレゼントしているんですよ。僕の生歌をBGMにして(笑)

Yumi:韓国の男性ってロマンチックですよね。

野島:舞台からみると、花を包んでいる透明のラッピングが、照明を反射してキラキラ光ってるんですよね。そんなカップルが何組もいて、客席のいたるところがキラキラしているんです。

Yumi:うわ~(笑)

野島:デートでそういうイベントをする、っていうのが人気になってしまって。その時期は、舞台が始まる前に、注意事項をお客さんに言う「前説(まえせつ)」で、『劇中にキスシーンがあるけど、カップルは、そのとき一緒にキスするなよ!』とか言っていました(笑)

野島直人さん対談【4】<br />韓国ミュージカルで学んだ<br />コミュニケーション<br />

Yumi:日本じゃ信じられない注意ですね(笑) 日本の観客はわりと静かに観ますから、真逆ですよね。

野島:だから、俳優側が客席をいじることが多いんですよ。それが本当に上手なんです。韓国の俳優さんは、基本的にコミュニケーション能力が高くて、それを舞台の上でも発揮しているなあと思います。

Yumi:たとえば?

野島:劇の中で『おめでとう!』ってシーンがあると、自然に客席から拍手が出てくるんですね。それを、こちらから『今日は、みんながお祝いしてくれるね!』とか『今日は、お祝いの拍手が大きいね!』みたいな感じで。そうやって、お客さんとの一体化した舞台が楽しいんです。

Yumi:舞台と客席でコミュニケーションが成立する……確かに韓国のミュージカルはそういう舞台が多い気がします。ますます見たくなりますね!

(第5回へ続く)

野島直人さん対談【4】<br />韓国ミュージカルで学んだ<br />コミュニケーション<br />野島直人(のじま・なおと)

1981年群馬県館林市生まれ、高校まで埼玉県で過ごす。
2000年劇団四季歌唱クラシック部門合格。研究生を経て2001年劇団四季ミュージカル『九郎衛門』(現:『むかしむかしゾウがきた』)太郎坊役(主演)にて初舞台。
退団後はミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役やアンジョルラス役を歴任、韓国ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』日本公演初演ヴィンセント役(主演)などを務める。韓国ミュージカル『パルレ』では日本公演初演、再演、再々演、さらに韓国語にてソウル公演に2012年、2014年と短期間の参加、2015年~2016年にかけて3ヵ月にわたって参加し、日韓両国にてソロンゴ役(主演)を務める。今年の7月から再びソウルにて『パルレ』21期キャストとして大学路公演に出演予定。チケット購入など詳細はこちら https://ameblo.jp/nojimanaoto/