【コツその2】「同じテーマ」の文章を集中的に読む

 みなさんは日本語の「ネイティブスピーカー」ですから、私の何倍、下手をすると何十倍もの「日本語の単語」をご存じのはずです。その膨大なボキャブラリーのうち、辞書や単語帳などで意味を調べて記憶したものは、はたして何割ぐらいありますか? おそらく、かなり少ないのではないでしょうか。

 あなたの日本語は、ほとんどが日本で日常生活を送ることで頭に入り、同じ言葉を繰り返し耳にした蓄積の結果であるはずです。決して「勉強して頭に無理やり取り込んだ」ものではありません。

 つまり、語彙を広げるにあたっては、自然なかたちで、何度も同じ単語に遭遇することが大事なのです。

 そこで、英文を読むときも、関連した内容や同じテーマの文章をいくつも読むのがお勧めです。同じテーマの文章であれば、当然、同じ単語が何度も出てきます。

「コツその1」で、わからなかった単語はあとから辞書で調べると書きましたが、ふつうは新しい単語を一度辞書で引いたくらいでは覚えることはできません。

 しかし、何度も同じ単語に遭遇していると、文章中での「使われ方」を通じて、その単語の意味を「類推」できるようになってきます。そういうかたちで単語の意味が頭に入ってくるのが、いちばん定着します。文脈から学んだ英単語は、頭にしっかりとこびりついてくれるのです。

 また、意味の類推を続けていると、類推の力自体が上がってきます。

 そもそもネイティブスピーカーの大人は5~6万語の語彙を身につけているといわれていますが、日本の学習者が大人になってからそれだけの語彙を身につけることはまず不可能です。

 そこで、知らない単語や表現もなんとなく意味をつかめる「類推力」が大事になってきます。この力は何度もリーディングをして何度も類推をしていくほど高まっていきます。この類推力は、英語でコミュニケーションするうえで大きな武器になること、間違いありません!