経理・会計ソフトによる
「経営の見える化」

 日々大量に発生する伝票処理などの業務の効率化は、経理・会計ソフト導入の目的の一つではある。だが、その本領は、製品・サービスや部門ごとの売り上げなどの収益状況や社内外の情報を迅速・的確に把握し、経営者の意思決定を支援する「経営の見える化」にある。

 せっかくそれなりの手間や時間をかけて入力した情報を、過去の決算書の作成だけのために使うのはもったいない。自社の製品・サービスの売れ行きがどのように推移しているのか、店舗ごとあるいは部門ごとの収益構造なども、経理・会計ソフトで見ることができる。トップが組織全体の動向を把握し、経営計画を遂行するために、経理・会計ソフトは活用すべきなのだ。

 経営計画で掲げた予算と実績を時系列で比較し、その数値をグラフで可視化するなどして、目標の達成に必要な戦略立案に役立てることもできる。こうした経営の見える化を支援するため、経理・会計ソフトには部門・商品別の業績など重要な情報を分かりやすく表示する機能や、時系列での比較・分析を行う機能を備えているものも多い。

 日々の変化を数値から敏感に察知して、次なる戦略をすぐに立てる――トップの意思決定が末端にまで素早く伝わりやすく、小回りの利く中堅中小企業にとって、実は経理・会計ソフトは大きな武器となり得る。

 最後に付け加えるならば、経理・会計ソフトは「導入したら終わり」ではない。継続的に活用し続けるためのサポートの有無を含め、自社に合った製品・サービスを検討したい。