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食の終焉
【第3回】 2012年5月23日
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神保哲生 [ジャーナリスト]

われわれが日々買い求める格安の加工食品、
その見えないコストは誰に押しつけられているのか?

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われわれは、スーパーマーケットで加工食品を買う時、その中身がどこから来てるのかを考えて購入しているだろうか。スーパーの棚に並ぶ食品の驚くべき低価格を実現するためのコストはどこに押しつけられているのか? グローバル化された食経済の構造を知ることが破綻を回避するための第一歩である。

300円で売られている格安のシリアル、
小麦生産者の手元にはそのうちのいくらの金額が残るのか

 スーパーマーケットで加工食品を買う時、われわれはその中身がどこから来てるのかを考えて購入しているだろうか。

 加工食品には生産から開発、加工、流通などの膨大なコストが乗っかっている。しかも、そのコストの大半が外部化されている。つまり、消費者には負担がかからないということだ。それは、われわれ消費者がそのコストを誰かに押しつけていることに他ならない。

 この「外部コスト」にどれだけ自覚的であるかが、グローバル化した食システムの下で、食品の正当性や安全性を見極める上での大きな鍵となる。

 目の前にある格安の商品を棚に置くまでに発生しているコストは、当然ながら誰かが負担している。300円で売られているシリアルに含まれる小麦の値段を考えた時、そのうち生産者の手元にはいくらの金額が渡っているだろうか。

 食システムの各階層でコストが雪だるま式に上乗せされている以上、彼らの手元に入りお金がいくらにもならないことは想像に固く難くない。

メーカーは常に調達コストの安い地域を国際市場から探している

 スーパーが特売セールを行えば、卸売業者は値引きを迫られ、卸はメーカーに値下げを迫る。メーカーは値下げ要求にいつでも対応できるように、常に調達コストの安い地域を国際市場から探している。

 国際市場での価格競争に勝つためには、より人件費が安く、開発コストのかからない(規制の少ない)地域が求められる。その地域とは労働者が1日1ドルにも満たない賃金で働き、農薬などの規制もほとんどない途上国かもしれない。

 グローバライゼーションとは、あらゆる商品がそのような構造の上に乗っかっている。実はわれわれが日々買い求めている加工食品のほとんどは、コストを押しつけやすい弱者や、貧困に喘ぐ途上国の生態系や環境にその負担を押しつけることで、低価格が実現されている場合が多いのだ。

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神保哲生 [ジャーナリスト]

1961年生まれ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信などを経て1994年独立。以来、ビデオジャーナリストとして活躍。2000年1月、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立し代表に就任、現在に至る。


食の終焉

肉、魚、野菜などの生鮮食品から、インスタントコーヒーやシリアルなどの加工食品まで、スーパーに行けば世界中の食品が1年中いつでも手頃な値段で手に入 る。しかし、われわれは、そのスーパーの棚の裏側で起きていることに対して、あまりに無知で無関心だ。グローバル化された食経済と、それを支える巨大なサ プライチェーンの裏側で今、何が起きているのか。世界の食システムが直面しようとしている危機の本質を読み解く。

「食の終焉」

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