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食の終焉
【第2回】 2012年5月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
神保哲生 [ジャーナリスト]

食品業界はメディアを利用して
子どもたちの胃袋を洗脳する

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食品業界の不都合な真実は、なぜわれわれに知らされないのか? そこには多額の広告宣伝費を使った業界によるメディア支配の構造があった。こうして食システムが直面する危機は消費者に知らされることなく、ゆっくりと、しかし確実に広がっていく。

アメリカでは食品業界の年間広告予算の4分の3以上が
テレビ広告に注ぎ込まれている

 食品業界はメディアをコントロールすることで、消費者の胃袋を“洗脳”してきた。

 アメリカでは食品業界の年間広告予算の4分の3以上が、テレビ広告に注ぎ込まれているという。中でもファストフードの広告が占める割合は95%にものぼる。

 そして食品会社は、子どもに食習慣や好みが発達しはじめる頃には、先回りをしてその存在感を印象付けるために、子ども番組の最中に宣伝を繰り返すだけではなく、人気アニメとコラボレーションしてさまざまな商品を開発したり、番組内に登場させたり、CMにキャラクターを登場させたりする。

 大人にはある程度の広告の正確さや意図を判断する能力があるが、子どもにはそれがない。

 食の場合、ほとんどが肥満につながる商品や間食を推奨するといった肥満の原因となるような食べ方に関するものだ。それは加工度が高く、高カロリーな食品ほど、利幅が大きくなる傾向が強いからだ。

 本書では「子ども番組の中で宣伝される食品の80%以上が、コンビニ食品かファストフードか、甘いお菓子かのいずれかだ」という研究結果を紹介している。

 今では平均的なアメリカの子どもは2歳までに朝食用のシリアルを好むようになり、3歳から11歳までの年齢層ではスナック菓子とデザートを好む子どもが全体の24%、キャンディを好む子どもが全体の17%にのぼるという。一方で果物や野菜を好む子どもはわずか3%しかいないという。

 利幅の大きい高カロリー商品を価値判断のつかない子どものうちからアピールすることで、子どもの胃袋を“洗脳”してしまったわけだ。

 その結果、アメリカでは2000年に7人に1人の子どもが肥満に分類され、肥満成人の割合は体重超過とあわせ47%にも達してしまった。

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神保哲生 [ジャーナリスト]

1961年生まれ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信などを経て1994年独立。以来、ビデオジャーナリストとして活躍。2000年1月、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立し代表に就任、現在に至る。


食の終焉

肉、魚、野菜などの生鮮食品から、インスタントコーヒーやシリアルなどの加工食品まで、スーパーに行けば世界中の食品が1年中いつでも手頃な値段で手に入 る。しかし、われわれは、そのスーパーの棚の裏側で起きていることに対して、あまりに無知で無関心だ。グローバル化された食経済と、それを支える巨大なサ プライチェーンの裏側で今、何が起きているのか。世界の食システムが直面しようとしている危機の本質を読み解く。

「食の終焉」

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