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2012年の論点を読む

【テーマ6】
人口70億人を突破した地球の食糧問題を考える①
日本にいると気づかない世界食糧危機の“実態”とは
――東京大学農学生命科学研究科 川島博之准教授

川島博之
【第6回】 2012年1月10日
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川島博之(かわしま・ひろゆき)
1983年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学(工学博士)。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員を経て現職。著書に『「食糧危機」をあおってはいけない』(文芸春秋)『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』(日本経済新聞出版社)など著書多数。

 「今、世界は食糧危機に陥っている――」

 このように書いても、多くの日本人は実感がないはずだ。だが、実際に穀物価格の推移を見ると、世界はまさに食糧危機の真っ只中にあることがわかる。

 トウモロコシは世界で最も多く取引される穀物だが、IMF(国際通貨基金)によると、その先月の価格は1トンあたり274ドルだ。2011年の4月には319ドルまで上昇した。もちろん、過去最高値である。2005年1月の価格は96ドルだったから、数年で約3倍に上昇したことになる。中世以来、穀物価格がこれほど短期間に、これほど急激に上昇したことはない。これを危機と言わずに、なにを危機と呼ぶのか。

 両者とも2005年頃から乱高下しているが、よく似た動きをしている。干ばつでトウモロコシが不作になったときに、原油が採掘し難くなることはないから、この変動は需給に基づくものではないことが分かる。その原因は金融に求めるべきだろう。

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2012年は、世界中がまれにみる政治の季節を迎える。1月の台湾総統選に始まり、ロシア、フランス、アメリカ、韓国では大統領選、中国でも政権交代が行われる。金正日亡き後の北朝鮮情勢からも目が離せない。不透明感が高まるなか、国際関係はいかに変化するのか、ユーロ危機は終息するのか、中国は景気後退に陥らないのか。そして、震災復興需要をテコに日本景気は上向くのか。12年は昇龍の年となるか、臥龍で終わるのか、まさに剣が峰に立つ。課題山積する12年の論点を読み解く。

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