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金融市場異論百出

ギリシャ危機再燃で浮上する
ユーロ圏銀行間決済のリスク

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年5月30日
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 ギリシャ問題が深刻化するにつれ、ユーロ圏の銀行間の大口決済システムであるTARGET2に絡むリスクに注目が集まっている。

 ギリシャの自動車販売会社がドイツのメーカーから自動車を輸入したケースを単純化して考えてみる。そのギリシャ企業は、ギリシャのA銀行に、自分の口座から自動車購入代金を引き落として、ドイツのB銀行にある自動車メーカーの口座に送金するように依頼する。A銀行がTARGET2にその送金を指示すると、ギリシャ中央銀行にあるA銀行の当座預金が引き落とされる。ギリシャ中銀はその資金を送金するのではなく、手元に置いておく。

 一方、ドイツ中銀はTARGET2の指示に従い、信用創造を行って、その額に相当する資金をB銀行に払う。事実上、ドイツ中銀はギリシャ中銀の金を立て替える。その後、B銀行はそれを自動車メーカーの口座に入金する。

 この一連の送金によって、TARGET2に対してギリシャ中銀は債務を、ドイツ中銀は債権を持つことになる。このような資金決済を続けていくと、ユーロ圏内で経常赤字の国は債務が、経常黒字の国は債権が、それぞれ累増していく。となると、これは長期的な維持が困難になる奇妙な決済システムに見えてしまう。

 しかし、金融市場が通常通り機能し、かつユーロ域内の銀行の信用力に問題が起きなければ、インターバンクの資金貸借市場では、資金余剰となっている域内経常黒字の国の銀行から、資金不足にある域内経常赤字の国の銀行に、資金が自然と貸し出されていく。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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