生活保護問題が急にクローズアップされた。きっかけはある芸人の出来事だ。

 一方、今国会で議論されている社会保障と税の一体改革では、建前として社会保障充実や財政再建のために消費税増税が必要という。もちろんこれは単なる方便で、現実には政権交代で膨らんだ歳出規模が10兆円以上(図表1)あり、その穴埋めに使われるだけなので、社会保障充実や財政再建にはならない。

本当に不正受給は多いか

 生活保護に関心が高いのは、不正受給の問題があるからだ。多くの人が生活保護には不正受給があるのではないかと疑っていることがある。今年3月1日に公表された2010年度の不正受給は2万5355件、128億7426万円だった。生活保護費は3.3兆円なので不正受給は0.4%しかないということになるが、誰もがこの数字は氷山の一角であると思っている。

 筆者も仕事上、地方公共団体の事務をみることがあるので、不正受給の問題が根深いのは知っている。ただし、日本の生活保護は必要なところにいっていないという批判もある。ある研究では、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の13%と推計しているが、実際にもらっている人は1.4%にすぎないというものもある。

急にクローズアップされた生活保護問題<br />デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策