「うちはダメだった。ベスト電器がうらやましい」(家電量販店幹部)。

 ベスト電器が羨望の的となっているのは、同社が発行する「ベストギフトカード」が、7月1日から始まったエコポイントの交換商品に選ばれたからだ。

 5月15日から開始されたエコポイント制度。省エネ性能の高いエアコン、地デジ対応テレビ、冷蔵庫の三分野の商品を買った消費者にエコポイントが付与される。付与されたポイントは、他の商品やサービスに利用できることから家電量販店にとって強い追い風になった。制度開始直後の週末には、各社の三分野の売上は前年同期比で20~30%増となり想像以上の恩恵を受けた。

 家電関連業界以外にとっては、エコポイント特需の本番はこれから。消費者に渡ったエコポイントを取り込み、すこしでも恩恵を受けたいところだ。

 それを狙ってグリーン家電エコポイント事務局(環境省、経済産業省、総務省の所管)には交換商品の募集で435件の申し込みがあった。選ばれたのは、公共の交通機関で利用できる電子マネーや全国の百貨店で利用できる商品券、クレジットカード会社の発行する商品券など271件だった。

 その中でベスト電器は「ベストギフトカード」が交換商品に選ばれたことで、5月15日からの“第一波”に続き“第二波”の恩恵も享受できることになった。他の家電量販店も同じように申請をしたのだが、いずれも落選してしまった。

 明暗を分けたのは、同社のフランチャイズ(FC)店の存在だった。

 今回、交換商品の対象となったのは商品券では「第三者型」。発行する事業者以外の事業者でも利用できるタイプの商品券だ。「ベストギフトカード」はベスト電器の店舗でのみ利用できる。それでは「第三者型」ではないように思えるが、利用可能な店のなかには同社のFC店も入る。実はFC店は発行する事業者以外の事業者であるとされ、選ばれる決め手となった。

 前年とは異なりオリンピックなどの需要を喚起するイベントが乏しい今期、ベスト電器は他の家電量販店にはない“おまけ”を手にしたといえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)