黒田東彦総裁日本銀行の黒田東彦総裁(写真)はETF購入策がデフレ脱却のために必要な政策の一つであると訴えてきたが…… Photo by Ryosuke Shimizu

日本銀行が金融緩和の一環で続けてきたETFの買い入れ策をめぐり、日銀の財務健全性の観点から持続性に疑問が投げ掛けられている。将来的な市場リスクを高め続ける政策にどこまで意味があるのか。出口戦略の展望とともに、同政策の現在地を検証した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

「日本銀行はいつまでETF(上場投資信託)購入を続けられるのか?」。このほどストラテジストランキング上位の常連であるJPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジスト、同社のチーフエコノミストで日銀OBの鵜飼博史氏がこう題したレポートをまとめた。年末ごろからの市場混乱で日銀のETF購入策の持続性に疑問が生じたことが作成の動機になったという。

 日銀は白川方明前総裁時代の2010年から、金融緩和の一環で日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)の値動きに連動するETFの買い入れを続けてきた。特に13年春以降、黒田東彦総裁の就任後に導入した量的・質的金融緩和でそのペースが加速。14年秋の追加緩和でそれまでの3倍の年3兆円へと増額後、16年7月からはさらに年6兆円へと倍増した。市場のリスクを縮小させ、日本経済へのプラス効果を狙ったものだ。