新3社連合の中で三菱自動車が早くも始動しているPhoto by Ryosuke Shimizu

三菱自動車が
早くも動き始めた

 ルノー・日産自動車・三菱自動車工業の日仏3社連合は、従来のゴーン支配に決別する“合議運営”で新たなスタートを切ることになった。その3社の中でも立場上、「最下位」にある三菱自動車工業が存在感を高めるべく、いち早く始動している。

 3月14日には、三菱自の水島工場(岡山県)で日産との共同開発による新型軽自動車のラインオフ式を行い、28日に三菱が新型ekワゴン、日産が新型デイズとして同日発表する。

 この新開発の軽自動車は、三菱自と日産の折半出資による軽自動車開発合弁会社「NMKV」が新たなアライアンスの下で行った最初のプロジェクトである。3社連合の技術力を結集し、新たな軽自動車として走りと実用燃費、先進安全運転支援システムなどを実現させている。

 一方で、三菱自動車は4月1日付の執行役員人事を発表。詳しくは後述するが、注目されるのは、日産との資本提携により日産から三菱自再建へ送り込まれたトレバー・マンCOO(最高執行責任者)が退任することだ。トレバー・マンCOOは、日産ではゴーンの側近として活躍した。ゴーン前会長の信任が厚く、日産・三菱自資本提携の2016年末から三菱自COOに就任していた。

 三菱自COOの後任には、4月からアシュワニ・グプタ氏が就任するが、グプタ新COOは日産からの送り込みではなく、3社連合統括会社からでルノー出身ということである。また、トレバー・マンCOO退任に加え、開発部門の立て直しのため、日産から送り込まれていた山下光彦副社長もアドバイザーに退くことになった。このように「ゴーン色」を一掃するような役員人事が打ち出され、三菱自は3社連合の中でも、次のステップに踏み出したといえよう。