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岸博幸のクリエイティブ国富論

新聞・テレビは本当に崖っ縁か?
週刊ダイヤモンドの特集を読んで考えた

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第18回】 2008年12月5日
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 今週号の週刊ダイヤモンドで、マスメディアの苦境が特集されています。丹念に調べてあり、非常に良い出来だと思いましたが、お先真っ暗というレポートが中心で将来に向けたインプリケーションが少ないようにも感じました。取材はされませんでしたが私もメディア論が専門なので(笑)、今回はマスメディアのこれからを考えてみたいと思います。

マスメディアはお先真っ暗か?

 マスメディアは、成長産業であるクリエイティブ産業の中核に位置する大事な産業ですが、特集にもあるように、大変厳しい状況に追い込まれつつあるのは事実です。ただ、本当にお先真っ暗かというと、私はそうは思いません。

 今苦しいのは、マスメディアが昔ながらのビジネスモデルに拘泥し、また事業再生に真剣には取り組んでいないからです。逆に言えば、ビジネスモデルを今の市場環境に合った形に進化させれば、苦境から脱することは十分に可能なはずです。小泉構造改革の経験から、苦しいときほど改革を進めるチャンスです。マスメディア各社がこれからの数年をどう過ごすかで、繁栄を取り戻すところと淘汰されるところに分かれるでしょう。

 そもそも、今マスメディアが経験していることは、同じクリエイティブ産業に属する音楽業界が経験済みです。日本のCD売上は1998年がピークで6千億円でしたが、デジタルやインターネットの影響で右肩下がりに売上が落ち、昨年は3千3百億円にまで減少しました。それでも、着メロなど様々な分野で売上を積み重ね、ちゃんと頑張っています。

 音楽の世界でCDがなくならないであろうことと同様に、テレビと紙という媒体は絶対になくならないでしょう。ただ、インターネットの出現で市場環境が激変した以上、全体の売上の中で占める比率は下がらざるを得ません。そこで重要になるのは、新しい市場環境に合った形にビジネスモデルを進化させられるかです。そして、市場環境が変化する中でもマスメディアが繁栄を続けられるかは、クリエイティブ産業が本当の成長産業になれるかの試金石でもありますので、頑張ってもらわなくては困るんです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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