「米中決裂」の今後、トランプ大統領の焦りと習主席の警戒感がどう折り合うか米国が追加制裁関税を発動し「振り出し」に戻った感がある米中協議の行方は(写真はイメージです) Photo:PIXTA

振り出しに戻った米中協議
打開のカギは首脳交渉

 昨年から始まった米中貿易戦争は、相互に「制裁」や「報復」を名分に関税を課し合う応酬を経て、知的財産権の保護や補助金問題など、より広範囲な分野での包括的な通商交渉の局面に入った。

 攻勢をかける米国と防戦に懸命の中国は、相互に激しい火花を散らせながらも、中国が輸入拡大や知財保護で譲歩に姿勢を見せていたことから、5月には基本合意との見方が強まっていた。

 ところが、直前になっていきなりトランプ大統領が「追加関税」に言及し、世界中を驚かせることになった。

 9、10日、ワシントンで行われたライトハイザー米通商代表と劉鶴中国副首相との協議でも溝は埋まらず、米国はこれまで留保していた2000億ドル相当の中国製品(5700超の輸入品目)に対する「25%追加関税」(第三弾)措置を発動した。

 振り出しに戻った感のある米中協議の今後は、首脳間交渉に委ねられる。「妥協点」を見い出せるのか。