21日、ファーウェイの日本法人が新型のスマートフォンを発表。その翌日にソフトバンク・KDDIが同社製品の発売延期を発表した21日、ファーウェイの日本法人が新型のスマートフォンを発表。その翌日にソフトバンク・KDDIが同社製品の発売延期を発表した Photo:JIJI

グーグルも対中制裁に同調

 天下の米グーグルも、米国政府による中国のファーウェイへの制裁措置に従ったのか──。消費者を驚かせたのが、ファーウェイ製スマホにOS「アンドロイド」を提供するグーグルがOSのアップデートを停止したことだ。これを受け、ソフトバンクとKDDIがファーウェイ製スマホの新機種投入を延期した。

 米現地メディアが、ファーウェイが新たに発売する機種からアンドロイドの更新ができなくなり、「グーグルのGメールなどのアプリが使えなくなる可能性がある」と報じたため、日本国内でも通信キャリアにユーザーからの問い合わせが相次いだ。

 グーグルは、「既存のファーウェイのスマホへのサポートは続ける」とアナウンスしているが、大手通信キャリア関係者は、「どんな影響があるか両社からの通知がない。ユーザーに説明できない」と悲鳴を上げる。

 とはいえ、一番切羽詰まっているのはファーウェイだ。米国の制裁措置がこのまま実行されると、OSだけではなくスマホ用の米国製半導体の供給も止まってしまう。売上高の48%を占めるスマホ事業の大減収ともなれば屋台骨が揺らぐ。

 だが、同社の任正非CEO(最高経営責任者)は「2019年のスマホ事業の売上成長率は20%を超えないかもしれないが、それでも伸び続ける」と強気の姿勢を崩さない。

 強気の裏には根拠がある。ファーウェイは米中の緊張が高まり、米国製品が使えなくなることを予測して、手だてを講じていた。独自のプロセッサー「Kirin」を開発してきたことに加えて、「独自OSも準備している」(同)と言い放った。その実力は未知数だが、転んでもただでは起きないファーウェイだ。制裁を奇貨として独自OSの普及を狙っていてもおかしくはない。

(ダイヤモンド編集部 千本木啓文、新井美江子、土本匡孝)