カロリー制限でやせないのはなぜ?

 食べ過ぎている人が摂取エネルギーを減らすのは、ダイエットとして合理的かつ効果的な方法です。ただし、お伝えしておきたいのは、カロリー計算では説明のつかないこともあるということです。

 あるテレビ番組で取り上げられた「1日にコップ2杯の青汁だけで生活している」という女性にお会いしたことがあります。彼女はやせているどころか、ややふくよかな体型でした。NASAの調査に協力されたそうで、なぜたった2杯の青汁で生きていられるのかを多角的に調べたものの解明できず、ただひとつわかったのは、彼女の腸内には普通の人にはいない特殊な腸内細菌が存在しているということでした。

 私はこれまで幾度となく「食べないわりにやせない」という人から相談を受けてきましたが、カロリー計算だけでは説明ができないことがあるのは確かです。医師やダイエットトレーナーには「やせるのは簡単! 摂取カロリーよりも消費カロリーを増やせばいいだけ」と断言する人もいますが、遺伝的な要素を含め、人の体はそこまで単純ではないようです。

 そもそも、栄養成分表に掲載されているカロリーはあくまでサンプルとなった食品でとられた数値であり、食肉などの食品では個体差や季節変動も大きくなります。また、消費カロリーも同様です。ベースとなるデータから算出しているので個人差があるのは当然で、そこまでは計算のしようがありません。

 さらに同じものを食べても、胃の消化能力や腸での吸収能力、インスリンの感受性、まだ解明されていない腸内細菌、肥満に関与しているホルモンや遺伝子のことなど、人が太ったりやせたりするメカニズムは単純ではありません。むしろまだわかっていないことばかりです。

 食べても太りにくい人、たいして食べていないのに太りやすい人がいるのも紛れもない事実なのです。

 以上のような話をふまえたとしても、摂取するカロリーを自分でコントロール可能な「カロリー制限」は、ダイエットの基本的なアプローチと言っていいでしょう。留意するなら、続けられずにリバウンドしてしまうような無理な制限はしないことが肝心と思います。

 食べ過ぎが明らかな人は、ドローインに加えて食事を見直せば、よりスピーディにお腹の脂肪を減らすことも可能です。

(次回へ続く)