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ゴーン社長の「報酬10億円突破」は是か非か?
“和”の企業文化を壊す経営機能と報酬のあるべき姿

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第231回】 2012年6月26日
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上場企業トップで初めて10億円突破
ゴーン社長の「高額報酬」は是か非か

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長の2011年度の報酬が、日本の上場企業トップとしては初めて10億円を超えた。ゴーン氏の高額報酬については、「2012年3月期の決算内容を見れば当然の報酬」との声がある一方、「ゴーン氏1人で好業績を上げたわけではない。報酬はもらい過ぎだ」との意見もある。

 確かに、日産が好業績を上げることができたのは、ゴーン氏1人の功績だけではない。同社で働く多くの人々が一生懸命に業績の改善に努めたからこそ、わが国の自動車メーカー7社の内で唯一増収増益を実現できたことは間違いない。

 しかし、ゴーン氏が果たした役割の重要性を無視することはできない。同氏が日産の基本方針となる事業戦略を立て、それに基づいて日産全体が努力した結果が増収増益につながったと理解すべきだ。

 ゴーン氏は、軍隊の組織にたとえれば司令官である。いわば、同氏は日産の司令官だ。その司令官がしっかりした事業の目標を立て、それを実現するための有効な戦略を練り、その精神を社内の各部に浸透させることによって高成績を上げることができた。

 末端の現場力が強いだけでは、組織全体の実力を結集することができるとは限らない。優秀な司令官の存在があったからこそ、日産は好成績を上げているのである。

 ゴーン氏は持ち前の経営センスで、かつて経営不振に陥った日産の再建を成し遂げた。昔、日産の従業員にヒアリングしたことがあった。そのときの反応は、「最初の印象は強引だったが、あのやり方でないと再建は難しかったかもしれない」というものだった。

 それだけの仕事を成し遂げた経営者に、高報酬を払うのはむしろ当然のことと言えるだろう。少なくとも、欧米流の考え方では、「彼の報酬が高いのは当たり前」ということになる。むしろ、「もっと高給で彼をスカウトしたい」という声が出るかもしれない。

 わが国の多くの企業では、新卒で入社した人材の一部が、少しずつ組織の中の階段を上がり、最終的には経営者の地位に辿りつくケースが多い。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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