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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

“本質”は何も変わらない欧州債務問題
怖いのは経常収支不均衡だけでなく預金不均衡の拡大
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]
【第67回】 2012年6月27日
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本質は統一通貨を
使うなかでの不均衡拡大

 6月17日のギリシャの再選挙で緊縮財政派が過半数を占め、組閣も行なわれたことで、足元、安堵感が漂っている。ただし、これで問題が収まったものではない。

 欧州問題の本質は、統一通貨ユーロを使用するなかで必然的に生じ得る各国の不均衡拡大にある。筆者が長らくストーリーラインとして議論してきた「ソブリン・ワールドカップ」は、基本的に経常収支の不均衡によるものだった。しかも、その不均衡を調整する為替機能が不在という、制度的欠陥が原因となっている。

 欧州域内の不均衡は、第一ステージとして経常収支の不均衡、すなわちドイツの黒字と南欧を中心とした諸国の赤字拡大の形で生じた。本論のテーマは、その不均衡が経常収支段階だけでなく、第二ステージとして金融面の不均衡に波及した点にある。

2つのステージの不均衡

 以下で、欧州の不均衡構造を概念図で考えることにしよう。そもそも、異なる経済の「実力」をもつ国々が存在するにもかかわらず、単一の通貨を使えば、競争力のある国は経常収支上でますます黒字になるが、競争力に劣る国は経常収支赤字が拡大する。これは、当たり前のことでもある。

 通常、こうした不均衡を調整させる機能を為替が担い、黒字国の通貨が上昇し、赤字国の通貨が下落することで均衡に向かう。すなわち、競争力に劣る国は為替を切り下げ、いわば、「自国製品を安売り」することで黒字を確保し、自動的に調節を実現する。

 しかし、単一通貨の場合、そうした調整機能は働かない。したがって、為替調整に頼らず競争力を改善させようとすれば、自国の物価水準自体を切り下げる必要が生じる。

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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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