前編に続き、「行政不況」を考える東京情報大学情報ビジネス学科主催の公開講座。“3K”と呼ばれる建築基準法、貸金業法、金融商品取引法が引き起こした経済低迷に対して、どのような政策的処方が必要か、気鋭の論客たちが徹底討論した。その後編をお届けする。(構成/『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)

パネリスト:
石川和男
(東京財団研究員)
大槻奈那(UBS証券株式調査部シニアアナリスト)
中森貴和(帝国データバンク情報部情報取材課長)
川村晃司(テレビ朝日コメンテーター)
司会:堂下浩(東京情報大学准教授)

政治家や行政、メディアに
求めること

堂下 日本において“予見可能性”のある政策を得ていくにはどんなことが必要でしょう。石川さんにお聞きします。

石川和男
石川和男(東京財団研究員)

石川 ここ2年ほどをみても、法律の立案過程において、関係する業界やマーケットの話を行政が全く聞かないという状況がずいぶんあります。阪神淡路大震災が起きたとき、神戸のLPガスタンクでごくわずかなガス漏れがあり、地元の新聞がこれを非常に大きく取り上げたことがきっかけで、国は全国の石油コンビナートに一斉調査を行うことを決めました。石油業界は猛反発をしましたが、国は彼らの意見をいっさい聞こうとしませんでした。

 同様に、建築基準法や貸金業法の改正に際しても、国は建設業界や貸金業界の意見をどれだけじっくりと聞いたのでしょうか。聞いてはいますが、ほとんどその声を反映してはいません。政治家や行政の人間が関係業界の声をたんねんに聞き、政策立案に反映するというメカニズムを再構築することができれば、いまご指摘のあった“予見可能性”についてもかなり応えられるのではないかと思います。

堂下 いまメディアの話が出ましたが、ではなぜ読者や視聴者はこうしたものに過剰に反応してしまうのでしょう。伝える側の意図や論理というものもあるのかもしれませんが、川村さんはメディアにはどのようなことが求められるとお考えですか。