中国の貸出金利引き下げ策、企業の資金難救うかPhoto:Reuters

 中国人民銀行(中央銀行)は銀行貸し出しの新たな指標金利を低めに設定し、苦境にある小規模企業の借り入れコストの引き下げを目指している。だがエコノミストの間では、中国の景気減速への対策として同措置は不十分との見方が出ている。

 人民銀は20日、銀行融資の基準とされてきた貸出金利を「ローンプライムレート(最優遇貸出金利、LPR)」で置き換え、貸出基準金利より低く設定した。待ち望まれた改革がようやく実現した格好だ。李克強首相は今年、国有大手銀に対し新規融資の3割を低利の中小企業向けとするよう指示していたが、基準金利の引き下げとは異なり、銀行の新規融資の一部のみに関わるこうした措置は経済にわずかな影響しかもたらさない。

 LPRは毎月更新される。市場の金利水準の変化を反映しやすく、貸し手は中銀の緩和政策に一段と迅速に反応できるとみられる。これに対し、人民銀は2015年以降、基準金利を変更していなかった。LPRの算出には、銀行18行が優遇顧客に提供する融資の平均レートを用いる。銀行の貸出金利は中期貸出制度(MLF)からの借り入れコストに基づいている。

 銀行はこれまで、人民銀の貸出基準金利を用いて1年物のLPRを設定していた。人民銀が15年10月に貸出基準金利を4.35%に引き下げて以降、1年物LPRは4.30%近辺で推移してきた。

 人民銀のデータによると、新たな1年物LPRは20日、4.25%に設定された。これはMLF金利を95ベーシスポイント(bp)上回る。新たに導入した5年物LPRは4.85%と、同年物の貸出基準金利の4.9%をやや下回った。