半導体業界で新たな法的争いが発生しているが、これが業界の厳しい現実を変えることはなさそうだ。米半導体受託製造(ファウンドリー)大手グローバルファウンドリーズ(GF)は台湾積体電路製造(TSMC)を相手取り、全面的な法廷闘争を仕掛けている。GFはかつて半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)傘下にあった非公開企業だ。同社はTSMCが特許を侵害したとして提訴。複数の訴訟に加え、同社が特許侵害にあたると主張する技術を用いた製品の輸入差し止めを米国際貿易委員会(ITC)に求めている。問題の製品が搭載された端末には、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型端末「iPad(アイパッド)」の複数モデルの他、中国の聯想集団(レノボグループ)および台湾の華碩電脳(エイスース、ASUS)のノートパソコン、米シスコシステムズやアリスタなどのネットワーク機器が含まれる。GFの訴訟が勝利を収めるかどうかは全く不透明だ。TSMCは同社の主張を強く否定しているうえ、台湾市場に上場しているTSMC株はGFが提訴を発表した先週以降、上昇している。一方で、訴訟が幅広い対象に及ぶことは、高性能の半導体市場が実質的に寡占状態で、規模的に競争できる企業はほんの一握りしかないことを浮き彫りにしている。