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山田厚史の「世界かわら版」

大儲けのJALが「法人税ゼロ」
税金で救済された企業の社会的責任は

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第14回】 2012年7月19日
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 V字型回復した日本航空(JAL)の「納税問題」が波紋を広げている。今年3月期の純利益は1866億円。世界の航空会社が集まる国際航空輸送協会(IATA)全体の約30%の利益をたった1社で稼ぎだした計算になる。しかも本来なら764億円の法人税を納めなければならない。それが納税はゼロ。儲けは過去の赤字で相殺された、というのだ。

繰越欠損金の効用

 高収益をバネにJALは今秋にも東京証券取引所に上場する。「日の丸航空復活」を思わせる快挙とも見えるが、税金で救済された企業が元気になっても税金は払わずに済む、これってどこかおかしくないか。払わずに済むのは昨年度分だけでない。今年も来年も、またその先も、9年間JALは納税を免れる。

 昨年の税制改正で、欠損金の繰り越しは9年間に延長された(それまでは7年間)。その恩恵を受け9年間でJALは推定4000億円の納税額を自らのキャッシュフローに取り込むことができる。新鋭機B787を30機くらい買える金額が手元に残るというわけだ。ライバル会社のANAは真っ青だ。

 「企業努力で正常な経営を保ってきた会社より、つぶれて身軽になった会社が儲かり、税金まで免除されるのでは、対等な競争にならない」(ANA企画部)。

 国会は消費税の是非を巡り政局がらみの動きになっている。ところがJALは雲の上で視界良好の免税飛行を満喫しているのだ。

 植木社長は「繰越欠損金はルールとして制定されており、JAL特有の支援ではない。業績だけ見て不公平とする議論は受け入れられない」と税金を払わないことは当然のこと、という姿勢だ。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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