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もはやオバマでも手出しできない?
大国パワーの十字路・北朝鮮の「地政学的意味」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第79回】 2009年6月2日
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 5月中には、国際世論の反対を無視してミサイルを何発も発射したり、2度目となる核実験を強行したりと、最近の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の行動は、あたかもやんちゃな子供が自分の“おもちゃ”を誇示して遊んでいるような印象さえ受ける。

 そうした北朝鮮なのだが、冷静に考えて見ると、日本人は「金正日による独裁体制の国」という程度のイメージしか持っていないのではないか?つまり北朝鮮という国は、我々にとって「わかったつもりでも意外とわかっていない国」なのである。

 現在の世界情勢を考えると、実は北朝鮮は、依然として地政学的にかなり重要な位置を占めている。朝鮮半島は、世界の有力国である米国、ロシア、中国のパワーがぶつかり合い、しかもそのパワーが均衡する地域なのである。世界を見渡しても、こういった地域は意外に少ない。

 今朝鮮半島では、北朝鮮と韓国(大韓民国)がとりあえずのバランスを保っており、表面上何とか平穏を保っている状況だ。

 では、北朝鮮の「地政学的意味」とは、いったい何なのだろうか? 関係各国の利害が複雑に絡み合う成り立ちを今一度おさらいしつつ、今後のポイントを考えてみよう。

 そもそも北朝鮮の歴史は、第2次世界大戦後、朝鮮半島の38度線以北を占領した旧ソビエト社会主義共和国連邦軍と、それより南を占領した米国軍が、それを境にして北朝鮮と韓国という2つの国を作ったことから始まる。

 冷戦体制下では、アジア地区における共産圏と自由主義圏が対峙するポイントが、朝鮮半島の38度線だった。その意味では、北朝鮮はソビエトを後ろ盾として、米国にサポートされた韓国との“接点役”を担ってきた。

 ところが、1991年のソ連崩壊によって後ろ盾を失い、92年にもう1つの後ろ盾である中国が韓国と国交を樹立して以降、北朝鮮は孤立性を高めることになった。

 その後、金日成・金正日親子が世襲制で事実上の独裁体制を維持して来た。北朝鮮は、地理的にロシア、中国、さらに米国を後ろ盾とした韓国とも国境を接しており、それらの有力国のパワーがぶつかり合うポイントで、金正日の独裁によって国家の体制を維持しているという構図になっている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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