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「地球の歩き方」について考えよう!
【第3回】 2012年8月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
ちきりん,石谷一成

ガイドブックの未来はどうなるの?

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『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』(大和書房)を書かれたばかりのちきりんさんの対談相手は、「地球の歩き方」の編集に長年たずさわってきたダイヤモンド・ビッグ社の取締役編集担当・石谷一成さん。今回は、ガイドブックにおける地図の重要性や電子化のむずかしさなどの話題に踏み込みます。

欧米人と日本人では地図の見方が違う!?

ちきりん 前回、「Lonely Planet」が英語圏ではドミナントなガイドブックだという話が出ました。

石谷一成(いしたに・かずなり) ダイヤモンド・ビッグ社取締役編集担当 1982年中央大学法学部卒業。ダイヤモンド・ビッグ社入社後、人材採用事業部を経て「地球の歩き方」編集部へ。ガイドブック、MOOK、雑誌「地球の歩き方マガジン」などの編集に携わり、主に東南アジア、ハワイ方面を担当。2011年より現職。

石谷 そうですね。あの会社はたしか個人のご夫婦が始められたのがもともとですから、その成長ぶりは目を見張るものがあります。いまは、韓国とか台湾とかにも翻訳で出されている。

ちきりん すごいですね。日本でも出てるんですよね?

石谷 じつは「Lonely Planet」は、日本では最初にウチに翻訳本として出さないかってお話があったんですよ。いろいろな経緯があり、実現はしませんでしたが……。

ちきりん 差し支えなければ、どういう理由で実現しなかったのか教えていただけますか?

石谷 1つには、地図に対する感覚の違いですね。欧米人にとって地図は「現地で買うもの」なんです。対して日本人は、海外に行く前に地図も揃えて、確認する。そのうえ、たとえば、日本人はストリート名で地図を見るのではなく、ランドマークで地図を見ます。となると、翻訳したとしても地図を入れ直したり、制作側として地図に対する考え方を変えたりしないといけない。ところが、その部分のハードルが高かった、ということです。だから、翻訳しても日本では英語圏のように売っていくのはむずかしいんじゃないか、と考えたわけです。

ちきりん そうでしたか。「Lonely Planet」と「地球の歩き方」では、おもしろさの質がぜんぜん違いますよね。読み物として「その国のことを知る」という視点なら「Lonely Planet」もおもしろいけれど、「どこかの国に旅行に行って、とても役立つガイドブック」というわけではないですよね。逆に言うと、英語圏で、「海外に行ってもっと実際的に役立つガイドブック」っていう本はないんですか?

石谷 日本人向けという意味では英語圏にはないですよね。

ちきりん そうなんだ。私、欧米の人と一緒に出張することも多かったんですが、お店を探す時とか、彼らはみんな現地ですぐ聞くんですよね。日本人は、海外でおいしい店に行こうとすると、ガイドブックを見て地図で探すけど、彼らはホテルのコンシェルジュに「タイ料理か、インド料理で、これくらいの値段のお店、車で20分以内くらいでいくつか教えて」って感じで聞く。こと細かにレストラン情報が書いてあるガイドブックを見ようっていう感じはないですね。

石谷 ガイドブックのあり方にも関連してきますね。

ちきりん ええ。欧米人はものごとをコミュニケーションで解決しようとする。資料で解決するんじゃなくて。でも、アジアの人は資料で解決しようとする傾向があるのかも。

石谷 そうなんですね。

ちきりん 国民性がガイドブックの方向性に関わるんだとしたら、おもしろいですね。すると、「Lonely Planet」が英語圏のスタンダードなら、「地球の歩き方」が韓国や中国、その他アジア圏のスタンダードになる可能性もありますね。

女性向けの「aruco」シリーズが大きな柱に

ちきりん 「地球の歩き方」編集部としては、今後10年、20年のなかで、次の成功というものをどう描いていらっしゃいますか?

石谷 まず、主要国をタイトルにした「本体シリーズ」と伍するくらいのシリーズを出していくことですね。「リゾートシリーズ」とか「留学シリーズ」などいろいろありますが、それが大きく育つというか……。

ちきりん いま、その本体シリーズ以外で、最も成功しているのは?

石谷 最近ではこれ、「aruco」 シリーズですね。「旅好き女子のためのプチぼうけん応援ガイド」です。

女性に人気の「aruco」シリーズ

ちきりん へー、プチ冒険って、どの程度の冒険ですか?

石谷 たとえば、普通に行くパッケージ旅行では物足りないけど、午後フリータイムとか4時間とかを、自分でちょっと視点を変えて回ってみよう、ということです。

ちきりん よくわかります。これが、いま本体シリーズの次に売れているんですね。

石谷 はい。背景には、ここにきて、20代30代の女性の出国者数や率がすごく増えていることがあります。

ちきりん 円高と関係あるのかな。女性が行きたい場所、たとえばパリやイタリアに行くのも安くなってるということでしょうか。

石谷 ということだけではないと思います。

ちきりん もしかして、韓流ファンが韓国を訪れているとかですか?

石谷 それだけでもないような……。でも、男性より女性のほうが、海外に出る人は多いですよね。

ちきりん たしかに男性って、ホント海外旅行に行かないですよね。それで、「aruco」が本体シリーズと同じイメージになれば、世界中の街の女の子向けガイドブックができあがるってことですね。

石谷 そうですね。いまは、全部で20タイトルほどですが、どんどん増やしていきます。

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ちきりん

関西出身。バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。 2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。 シリーズ累計23万部のベストセラー『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)、『「自分メディア」はこう作る! 』(文藝春秋)など著書多数。

 

石谷一成(いしたに・かずなり)

取締役編集担当 1982年中央大学法学部卒業。ダイヤモンド・ビッグ社入社後、人材採用事業部を経て「地球の歩き方」編集部へ。ガイドブック、MOOK、雑誌「地球の歩き方マガジン」などの編集に携わり、主に東南アジア、ハワイ方面を担当。2011年より現職。

 


「地球の歩き方」について考えよう!

人気ブロガー・ちきりんさんの今回の対談相手は、『地球の歩き方』の編集に長年たずさわってきたダイヤモンド・ビッグ社の取締役編集担当・石谷一成さん。『世界を歩いて考えよう!』(大和書房)を書かれたばかりのちきりんさんと、縦横無尽に「地球の歩き方」について語ってもらいました。

「「地球の歩き方」について考えよう!」

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