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金融市場異論百出

特例公債法案の先送りで露呈
末期的な日本の議会制度

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年9月12日
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 ここ3カ月ほどの間に、英国、米国、メキシコ、ブラジル等を回り、今は中国に来ている。どの国の政治もそれぞれ問題を抱えている。しかし、それらよりも日本の国会の混迷ぶりは深刻である。「衆参ねじれ現象」により国会の機能が著しく低下している。

 その悪影響が、遂に9月4日の地方交付税の交付延期(4.1兆円)という事態につながった。今年度の特例公債法案が可決されないと、赤字国債を発行できず、国庫は資金不足に陥る恐れがあるため、財務省は資金繰りに慎重になり始めている。

 国民の生活にとって重要な法案をめぐって政党間で「度胸試し」(チキンゲーム)をして、解散時期の駆け引きを行うことは、既成政党への国民の信任を著しく低下させる。それが「大阪維新の会」の支持率躍進に明確に表れている。

 特例公債法案が通らない状態が続くと、12月には財務省が発行できる国債がなくなってしまうという問題も起き得る。金融市場で円滑な入札が行えるように、財務省は年間の国債発行スケジュールを事前に発表している。今は新規の赤字国債は発行できないので、それ以外の国債を先に発行して、入札予定が大きく狂わないようにしている。その対処策もいずれ限界が来るため、債券市場に混乱が起きる恐れが出てくる。特例公債法案の可決が遅れるほど、入札1回当たりの発行量が大きくなってくるという問題が生じる。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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