ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
辻広雅文 プリズム+one

米国政府は「住宅ローンの棒引き」を決断できるか

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
【第61回】 2009年2月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 先週、「銀行国有化できぬゆえに米国の金融危機は長期化する」という題名のコラムを掲載したら、批判を含むさまざまな意見をいただいた。そのなかで最も考えさせられたのは、「銀行国有化は社会主義的政策の到達点ではないか」という指摘だった。

 「銀行国有化」を持ち出した私の論理を、もう一度整理しておこう。

1.米国でバッドバンク構想が浮上している。金融機関から不良資産、不良債権すべてを除去し、悪化の一途を辿る金融システム危機から脱出するために極めて有効でやるべき解決方法である。

2.だが、「やるべきこと」と「できること」は違う。昨年夏、米政府が金融システム危機の解決に公的資金の投入を表明した際、ポールソン財務長官は、この最も有効な方法――不良資産の買い取リを政策の核に据えた。それが、果たせず、銀行への資本注入に政策が変更されたのだ。

3.なぜなら、当初から指摘されていた買い取り価格問題を解決できなかったからだ。不良資産を高く買い取れば、買い取った政府つまり税金に損失発生しかねない。逆に、厳しい査定をすれば銀行側に損失負担がのしかかって、資本不足に追い込みかねない。

4.そもそも、市場が暴落するさなかに適正価格など測定できるものではない。そして、今なお続く本質的問題は、市場が壊れ価格発見機能が失われたままであることだ。

5.とすれば、銀行を国有化してしまえばいい。民間(銀行)と国が損失負担を巡って利害が発生、衝突するから買い取り価格の公正さが問題となる。それならば、いったん銀行をまるごと国有化し、不良債権処理と再生を同時に進め、民間銀行としてグッドバンク部分を切り出せばいい。残った部分が、バッドバンクである。

 実際、市場経済の総本山である米国でも、マネーセンターバンクの破綻を恐れる人々の口の端に「銀行国有化」は上りつつある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]

1981年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属後、エレクトロニクス、流通などの業界を担当。91年副編集長となり金融分野を担当。01年から04年5月末まで編集長を務める。主な著書に「ドキュメント住専崩壊」(共著)ほか。


辻広雅文 プリズム+one

政治・経済だけではなく、社会問題にいたるまで、辻広雅文が独自の視点で鋭く斬る。旬のテーマを徹底解説、注目の連載です。

「辻広雅文 プリズム+one」

⇒バックナンバー一覧