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金融市場異論百出

安倍晋三総裁の選出に読む
今後の日銀と金融政策動向

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年10月3日
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 安倍晋三氏が自民党総裁に選ばれた。次の臨時国会中にもし解散となれば自民党政権が復活し、同氏が総理大臣となる可能性は高い。安倍氏は9月15日の日本テレビの番組で「世界では金融政策が重要な政策の柱になっている。日本も政府と日銀が政策協調をして思い切った金融緩和を行っていくべきだ」と述べ、日銀法改正に関しても「場合によっては考えていくべきだ」との認識を示していた(ブルームバーグ)。

 安倍政権が成立したときに、実際に日銀法改正が行われるかというとまだまだ流動的と思われる。経済の基本法の一つである日銀法を改正することは政治的に大きなエネルギーを必要とする。また、政府債務がこれだけ巨額に積み上がっている国で、法改正により正面から中央銀行の独立性を低下させることは、かなりのギャンブルになり得る。

 それによってハイパーインフレが起きる確率は当面低いが、日銀法改正は海外のヘッジファンドが日本国債に売りを仕掛けたくなる契機になる。急激な長期金利上昇は、銀行の保有国債に損失を発生させ、金融システムを不安定化させる恐れがある。安倍氏がそのリスクを冷静に見極めることができるならば、日銀法改正よりも、来年4月8日に任期終了を迎える白川方明総裁の後任に、金融緩和策に前向きな人物を選ぶほうがリスクは小さいと考えるだろう。

 ただ、ここから先の追加金融緩和策は、現実にはあまり大きな効果は期待できそうにない。「日銀もFRBのように“劇場型金融政策”を行って、市場心理を明るくすべきだ」との声はよく聞かれる。だがFRBが9月13日に決めたMBS(住宅ローン担保証券)の買い取り策(いわゆるQE3)は、直後は米株式市場で勘違いのような喝采が起きたが、時間がたつにつれ歓喜は薄れている。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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