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不動産仲介大手も注目するビジネスモデル
激安物件限定の「家賃5万以下ドットコム」が選ばれる心理学

筒井健二
2012年10月5日
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 賃貸・不動産情報サイト「HOME'S」によれば、東京23区内のワンルーム物件の平均家賃は、高額順に港区11.98万円、中央区10.39万円、千代田区10.13万円と続く(9月30日時点)。ワンルームにも関わらず、上位3区は平均家賃が10万円を超えている。

掲載物件数3000以上、非公開を含めると10000以上の物件を取り扱う「家賃5万以下ドットコム」。一顧客に費やす時間を短縮した効率のよいビジネスモデルで実現

 そんななか「家賃5万以下ドットコム」は、サイト名のとおり、家賃が5万円以下の物件のみ紹介してくれる賃貸物件情報サイト。1000円でも安い物件を探し、月々の固定費を抑えたい人にとってはうれしいサービスだ。とはいえ、いくら家賃が安くても、汚かったり、古かったり、駅から遠かったり……では、ユーザーから敬遠されてしまうのではないだろうか。

 「23区内、家賃5万円以下でも、“風呂なし”や“四畳半一間”はほとんどありません。つくりは古くても、水まわりをリニューアルしたり、新しくユニットバスをつけたり、外観からはわからない5万円以下のお得物件が、23区内に5000物件以上もあります」

 このように話すのは、同サイトを運営するA Power Home(エイパワーホーム)の吉岡憲史氏。こうした実情の背景には、現在7万円で案内しているが人が入らないため、空き物件で遊ばせておくよりも5万円でいいから貸したい、という物件オーナーの本音があるという。2011年11月のサイトオープン以来、物件オーナーからの問い合わせは急増している。

掲載物件の一例。JR荻窪駅徒歩2分、オートロック完備で家賃4万4800円──「期待していなかっただけに大満足」という、いい意味での裏切りが人気の秘訣

 「つまり当社がご紹介しているのは、本来7、8万円出さないと借りられない厳選された物件が多いということです。ただ安いだけの物件を揃えるつもりはありませんし、『これで5万円ですか!』と驚かれるお客さまも大勢いらっしゃいます。一概に“安物件=妥協”とは言い切れません」(吉岡氏)

 安価な賃貸物件に特化したビジネスモデルの強みを聞くと、「時間をかけずに決めるお客さまが多い点」(吉岡氏)という。

 たとえば家賃20万円の物件に住もうと考える人は、部屋選びに相当な時間を費やす。不動産屋に行ったその足で「これでいいです」とは、まずならない。1ヵ月、2ヵ月、長ければ半年間、金額に見合った物件を数多く見て、選び、納得してから、決める。時間がかかるうえ、成約率も低い。

 「その点、5万円以下の物件を探している人は“焦っている”人が多く、極端な話、当日入居したいという人もいます。一人ひとりのお客さまにかける時間と労力を考えると、圧倒的に効率がいいのです。さらに当社がいわゆる駅前不動産と決定的に違うのは、23区すべてをカバーしている点です。通勤の利便性などお客さまのニーズに合わせて、住みたい街を広い範囲から選ぶことができます」(吉岡氏)

 最近では大手の不動産会社も、格安物件を専門に扱うサービスを少しずつ展開しているという。そんな業界動向を吉岡氏は歓迎している。

 「大手が参入することで、世の中には5万円以下の物件がたくさんあるという事実が広まります。そうすると7、8万円の物件に住もうとする人が減り、家賃相場がぐっと下がる。さらに良質な5万円以下の物件が増えるということです。市場が底上げされたとき、豊富なノウハウを有している弊社がトップを走っているのは間違いありません」(吉岡氏)

 最近ではお金のない20代の若者だけでなく、手近な仕事部屋を探すフリーランスや、ネット環境を求めて街をさまようノマドワーカー、東京出張が多いビジネスマンからの問い合わせ、契約が増えている。

 賃貸物件には、“敷金礼金ゼロ”“シェアハウス”といった、ユーザー心理を突いたさまざまなカテゴリーがある。その一つに“5万円以下物件”が並ぶ日は近いかもしれない。

(筒井健二/5時から作家塾(R)

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