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脱・賃料値下げ合戦の期待がかかる
自由にカスタマイズできる賃貸物件

週刊ダイヤモンド編集部
2012年1月26日
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 伊藤忠都市開発が賃貸を開始する「アルティス西ヶ原パークヒルズ」の人気動向に不動産業界が注目している。この物件は竣工から2年経つ総戸数357戸の大型賃貸マンションだったが、半地下の居室があったり、間取りが個性的だったりしたことが原因で全体の約25%が空室となっていた。

 業界関係者が注目するのは、新たな賃借人が入居する際に、壁紙や照明など内装をカスタマイズできるサービスを導入したからだ。

 居住者が退去した後、次の入居者の要望に応じた壁紙を使用するようなケースは以前からあったが、この物件ではデザイン事務所と提携し、プロのデザイナーが入居者と一緒になって居住空間を作り上げる点が大きく異なる。しかも、退去時に原状回復義務もない。

 亀山直人・伊藤忠都市開発総合開発事業部課長は「建物を建ててれば入居者が集まる時代ではない」と、カスタマイズサービスを導入した経緯を説明する。

 壁の厚さをはじめ大半の賃貸住宅の質は、分譲タイプに比べて劣る。にもかかわらず、新築の分譲住宅では当たり前となった内装の選択でさえ、賃貸物件では不可能なケースが大半だ。その背景には「礼金や更新手数料などの慣習が象徴するように、長年、賃貸住宅は売り手市場で工夫が足りなかった」(中山登志朗・東京カンテイ上席主任研究員)ことがある。

 賃貸マンション市況は2008年秋のリーマンショックを境に右肩下がり。たとえば東京23区では1平方メートル当たり賃料は08年が3367円だったが、11年は3062円へと低下している(東京カンテイ調べ)。今や空室を恐れるあまり更新料もゼロが主流となり、一定期間の賃料を無料とする「フリーレント」も一般的になってきた。

 厳しい環境下にも関わらず、この物件の賃料は、周辺相場に比べて「約15%高い」(亀山氏)という強気な設定である。じつは、不動産関係者が最も関心を寄せるのは、カスタマイズサービスのような「工夫」によって賃料を上げつつ賃借人を獲得できるのか否かという点だ。

 賃料のディスカウント合戦も限界に近づきつつあるなかで、果たして消費者は反応するのか。「借り手も賃料や立地しか見ておらす、賃貸物件に多くを求めていなかった」(中山氏)だけに、関係者は不安と期待が入交りつつ、カスタマイズサービスへの反応を見守っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木 豪)

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