読者同士がつながり、読者が出演者として輝いていく

 編集スタッフとともに執筆を行う障がい当事者が、媒体出演者と読者をつなげる「Co-Co Life☆女子部」――そうした多数の人の交じり合い(コラボレーション)の中で印象的なことを、現編集長の土井唯菜さん*4 に聞いた。

*4 土井唯菜さんは大学で舞台芸術におけるファッションを学び、現在は洋服お直しの会社でマネジャー職を務めているという「洋服のプロ」。「編集長」という肩書でありながら、実務的には読者代表、コミュニティーマネジャーのような役割も担っている。

土井 私が初めて「Co-Co Life☆女子部」に関わったのは、2016年、NHKのテレビ番組主催で行われたダイバーシティ系のファッションショーの時でした*5 。「Co-Co Life☆女子部」から、障がい当事者の女性20人がモデルとして出演し、ランウェイを歩いたんです。私はスタッフに応募し、ショー現場のお手伝いをしました。たくさんの障がい当事者がおしゃれをして、明るく楽しくしている姿を見て、「なんて素敵な世界なんだ」と感じたのが「Co-Co Life☆女子部」の第一印象です。

*5 番組企画の「バリコレ2016」ファッションショーに「Co-Co Life☆女子部」のモデルたちが出演した。→NHK「バリコレ2016」ファッションショーに、「Co-Co Life☆女子部」が出演! 「Co-Co Life☆女子部」バリコレモデル達をご紹介します!

NHKの番組主催で行われたファッションショー2016年10月、NHKの番組主催で行われたファッションショーに、「Co-Co Life☆女子部」は20人の読者モデルを率いて出演。障がい・難病のイメージを覆す圧倒的な美しさ、明るさに、全国から感動の声が集まった。土井編集長は、この時に初めて運営に参加し、「なんて素敵な世界なんだ」と感じたという
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土井  そこから、スタッフとして本誌編集にも関わっていたのですが、3年後に編集長を拝命しました。2019年に「Co-Co Life☆女子部」の読者ファンミーティングを開催したとき、編集長として初めてたくさんの読者と一度にお会いし、「いつか誌面に載りたいです!」と言ってくれる方が多くて、とてもうれしかったですね。実際、ファンミーティング*6 でお会いできた読者の方に、後日、お声をかけて雑誌の表紙に登場する読者モデルをしていただいたこともあります。

*6 読者イベントとしてのファンミーティングには39人の読者が参加し、その場で、土井唯菜編集長の就任が発表された。→10月5日にファンミーティングをおこないました! ファンミーティングの動画はこちらから→昨年のファンミーティングが動画になりました!

土井 現在は新型コロナウイルスの影響もあって、複数人で集まる企画や取材がなかなかできないのですが、恒例の人気企画「街散歩」や「座談会」は、いまでも基本的には障がい・難病の当事者、何人かに集まってもらって実施しています。撮影の現場で、初めて会う読者同士が仲良くなって、LINE交換したり、一緒に写真を撮ったり。撮影後も一緒にお買い物やお茶しに行ったり…と、当事者同士のつながりができるのは、とてもいいなと思っています。

 読者同士がつながることで「Co-Co Life☆女子部」はさらにファンを増やし、フリーメディアとしての魅力を増しているようだ。エディターの守山さんにも印象的なことを尋ねた。

守山 いちばん楽しいのは、家族に後押しされてオドオドと撮影に来た障がい当事者の女の子が、プロによるヘアメイク、本格機材によるシューティング(撮影)を重ねるうちに、「モデル」に変身する瞬間を目の当たりにすることです。その人の持っている真の美しさ、生きる力、エネルギーのようなものが、撮影現場でいきなり開花することがよくあります。「バリバリと音を立てて剥けていく!」「パーンとキラキラが弾ける!!」みたいな感じで…そういうシーンは本当に見ていてワクワクするし、感動しますね。来た時と帰り道で読者(出演者)の表情が全く違うので、家に帰ってご家族がびっくりすることもあるようです。その日が、その人の人生の転機になったとしたら、編集者冥利に尽きるというものです。

 また、読者イベントや撮影会で、10代や20代の読者同士が仲良くなっておしゃべりしているうちに「私ももっとおしゃれしたい」「もっとかわいくなりたい」「恋愛したい!」「お出かけしたい!」「人生を楽しく送りたい!」と、欲(=生きるエネルギー)がグッと出てくる瞬間があって、それも見ていてすごくうれしいですね。「みんな若いのに、いままで我慢を重ねて生きてきたんだなぁ」「これからは生きたいように生きればいいんだよ」と思いながら応援しています。

開催されたファンミーティング2019年10月に開催されたファンミーティングは、障がい・難病の当事者、約40人が参加。参加者同士のフリートーク、抽選会、公開での表紙撮影など、盛りだくさんの内容だった。この日は(百貨店・衣料販売の)マルイがイベントに協賛し、自社開発のユニバーサルデザイン商品について、障がい当事者の意見をヒアリングした
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