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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

中央銀行に自己資本は必要か?
『会計規定第18条』に見る日本銀行のケース
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田創,熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第81回】 2012年11月7日
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10月30日の追加緩和は
「量的緩和」かつ「信用緩和」

 10月30日、日銀は9月に続いて2ヵ月連続となる追加緩和に打って出た。中身は

  ①「資産買入等の基金」(以下、基金)を80兆円から91兆円に拡大
  ②「貸出増加を支援するための資金供給」の導入に伴って「貸出支援基金」を創設
  ③デフレ脱却に向けた政府と日銀の共通認識の明示

 の3本柱からなる。基金拡大の内訳は「長期国債5兆円」「短期国債5兆円」「CP等0.1兆円」「社債等0.3兆円」「ETF 0.5兆円」「J-REIT 100億円」(金額は全て概数)となった。

 日銀は同じ基金内で保有する資産であっても、長・短国債とそれ以外のリスク資産は買入目的が違うと考えている。前者はイールドカーブのブル・フラット化と流動性の供給を目的とした「量的緩和」、後者は市場のリスクを日銀のバランスシートに吸収することでリスク・プレミアムを抑え込む「信用緩和」が意図されている。この意味で、今回の基金拡大は「量的緩和」かつ「信用緩和」といえる。

日銀の損失は「直接的な国民負担」
と「間接的な国民負担」に

 しかし、リスク資産の買入枠の拡大が計1兆円に止まったことから、市場には一層の買い増しを期待する声が根強い。一方、日銀にリスク資産の買い増しを求めるのであれば、当然、損失が発生するリスクも考慮されなくてはならない。

 日銀に生じる損失は、最終的に国民負担となる。「直接的な国民負担」としては、①日銀による国庫納付金の減少、②日銀による法人税、法人住民税、法人事業税の納税額の減少、③日銀出資証券(注1)に対する配当の減少、などを経て政府の歳入が減り、ひいては国民負担(増税など)が生じる。

(注1)日銀の資本金1億円のうち最低でも5500万円は政府からの出資でなくてはならない(日銀法第8条)。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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