マーケットフォーカスPhoto:PIXTA

米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げとその前段階としての量的緩和縮小の前倒しを示唆した。これを契機に金融相場から業績相場に移行しそうだ。前回は、量的緩和が縮小され始めても株価は業績に支えられ上昇した。日本でもワクチン接種が進展し経済再開が進めば、業績回復に沿って株価は推移するだろう。その局面では業績の変化率の高い業種に着目すべきだ。(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)

FRB23年2回利上げ示唆を契機に
株式市場は金融相場から業績相場へ

 コロナ禍を機に世界の中央銀行、特に米国の連邦準備制度理事会(FRB)がそれまで縮小方向であった資産買い入れを180度転換して資産購入プログラムの大幅な拡大にかじを切り、それが株式市場の急回復の原動力となったのは記憶に新しい。

 そのFRBが今度は6月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産買い入れプログラムの減額(量的緩和縮小、いわゆるテーパリング)と2023年に2回の利上げの可能性を示唆し、従来の予想よりその実施時期が早まる予測が中心となり、株式市場は新たな局面に入ったとみる。

 すなわち、金融相場からコロナ後の業績回復が株価を押し上げる業績相場である。

 前回の当欄で述べたように、世界の株価指数は日米欧の中央銀行が発行した通貨量に沿うようにして上昇してきた。この通貨量がこれ以上増えないということであれば、株価は伸び悩むのではないか、という懸念はあるだろう。