「近いうち」がようやくやって来た。11月16日に衆議院が解散。野田佳彦首相が解散を表明した14日以降、株式市場はポジティブな反応を見せている。株価上昇の要因は、いわゆる「安倍トレード」だろう。
12月16日に行われる総選挙で自由民主党が比較第一党となり、政権の一翼を担うとみられている。自民党総裁である安倍晋三氏は、積極的な金融緩和論者として知られる。最近も「日銀法改正」「2~3%のインフレ目標」「マイナス金利」「国債の日銀引き受け」など刺激的な言葉を連発して、積極緩和を促す姿勢を強めている。「安倍首相」誕生による緩和期待が円安をもたらし、株高につながっているのだろう。
積極緩和による円安と並んで期待されるのが、公共投資の復活。自民党は政権公約として「国土強靭化基本法」の制定を掲げている。今後10年間で200兆円(国費+地方分)の公共投資を実施する計画だ。
「安倍首相」が誕生するか否かにかかわらず、一連の動きは強まるものと考えられる。いずれの党が政権を担っても、2013年4月に任期が切れる白川方明・日本銀行総裁の後任には、ハト派の人物が選ばれることとなろう。積極緩和への転換は時間の問題で、既定路線と考えられる。
公共投資にしても、自民党だけでなく公明党も10年で100兆円規模の社会資本整備を提唱。民主党も「日本再生戦略」の前倒しという名目で、東日本大震災からの復興・復旧、防災・減災対策の強化を打ち出している。