愛知県豊田市役所。昼休み時間、その南庁舎二階(平成11年1月完成)の市民ホールに、地元「美里コーラス」の歌声が響いた。

 ここは、同1階の市民対応の各種窓口とエスカレーターで結ばれたオープンなスペース。100名程の中高年の市民が和やかなムードのなか、30分間のミニコンサートを楽しんだ。

愛知県豊田市にあるトヨタ本社。隣接するトヨタ会館にはトヨタ新型車展示や企業説明のコーナーがある。連日、中国など新興国の留学生や旅行者が観光バスで訪れ、トヨタ会館発着の工場ツアーに出かける。

 同じ頃、海の向こうのアメリカ、中国、ヨーロッパでは合計700万台にも及ぶリコール大問題が発生し、当該海外各地のトヨタ関係者は昼夜を問わず対応に追われていた。だが、製造品出荷額で日本第一位(13兆2,480億円/平成19年工業統計調査)に輝く、人口42万3,016人(男22万1,103、女20万1,913人/平成22年1月1日現在)の「クルマのまち」の市民に、海外での大きな“うねり”はまだ伝わっていない。

 ただ、同市の平成21年度当初予算には、今回のリコール問題とは違った側面での変化が現れていた。一般会計予算は対前年度比3.9%減の1645億円、予算総額は同5.9%減の2424億円だった。

 こうした同市財政の変調は、トヨタ自動車(以下トヨタ)と周辺の自動車部品関連企業、さらにはそうした産業を基盤に生活している同市民レベルの認識では、2008年9月15日の米投資会社リーマン・ブラザーズが米連邦破産法第11条(通称チャプターイレブン、日本の民事再生法に相当)を申請した「リーマンショック」と直結していない。

 彼らにとっては、リーマンでなく、あくまでもあれはトヨタショックだったのだ。起源としてはリーマンショックだが、地元中京地方の自動車業界関係者にとっては、2008年11月6日にトヨタが発表した営業利益1兆円下方修正(=トヨタショック)が直接的な打撃だったのだ。