定年前後のお金の手続きなどをやさしく解説した著書「定年前後のお金の正解」に、「分かりやすい」「自分の場合の正解が分かった!」などと多くの感想が寄せられている税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さん。定年前後のお金の手続きは、会社も役所もていねいに教えてくれないので、知らないままに大損している人も多いのです。本連載では、板倉先生が、実際に定年前後のクライアントから多く相談されるお悩みをランキング形式で挙げながら、その解決策を本の中から紹介していきます。定年が視野に入ってきた人は、必ず知っておくべき最低限のポイントです。是非、ご参考に!

【定年前後のお金のお悩みBEST5 第4位】<br />定年後、起業したいけれど、<br />「個人事業」で始めるか「法人」を作るか?Photo: Adobe Stock

会社を設立するメリットがあるかよく考えて

 定年後、会社には就職せず、独立して起業することを考えている方も多いです。その際に必ず聞かれる質問が「個人事業主で始めるか、会社を作るか(法人にするか)」です。

 まず、会社を設立したほうがいいと明確に言えるのは「会社にすることで得られる信用」がほしいと言う方です。

「取引先が会社でないと付き合ってくれない」「会社にしておくほうが営業しやすい」という場合は会社にしたほうがいいでしょうが、それ以外の方はあわてて会社を作るメリットはあまりありません。逆に、何も考えずに会社を作って後悔している方も多くいらっしゃいます。

 今までの会社員時代の経験や人脈を生かしながら、様子を見ながら身の丈で事業をしていこうと考えている場合は、最初は「個人事業スタート」で十分だとお答えするケースがほとんどです。

 個人事業のほうがおすすめな理由は3つあります。