そもそも「一元化」ではなく
「標準化」と「データ連携」

 では何をしようとしているのかというと、「学校や自治体間でばらばらの記載方式になっているデータを標準化し、必要に応じて連携できるようにすること」です。

 どのようなケースでデータを連携する必要があるのでしょうか。それは、42頁に記載のある「データ連携による支援が必要な子どもに対する支援の実現」がその1つです。

 これについては後半で具体的に説明したいと思いますが、既に昨年の11月26日に小林史明デジタル副大臣を中心に、4省庁の副大臣を構成員とする「こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム」が開催されました。

 この会議の場で、小林副大臣、山田太郎デジタル大臣政務官をはじめ関係者からは、再三、「国が一元的にこどもの情報を管理するデータベースを構築することは考えていない」という発言がありました。

 こうした経緯があるにもかかわらず、どうして「政府 学習履歴など個人の教育データ デジタル化して一元化へ」などという記事になるのか、理解に苦しみます。あえて国民の誤解や不安を惹起するような報道の仕方をしていると言わざるを得ません

 なお、この報道が出た後の閣議後記者会見で牧島大臣は、「本件に関して1点付け加えさせていただきたいのですが、一部報道で一元化という表現が使われているのを拝見しております。私どもとしては、国が一元的にこどもの情報を管理するデータベースをつくるということは考えておりませんので、そのことを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。まずは自治体でのデータ連携の事例をつくっていきながら、全国の自治体への展開に向けた必要な方策を検討していきたいと考えております。なので、一元化ではなくてデータ連携でございます」と発言されています。

 しつこいようですが、大切なことなので、もう一度言っておきます。国は、個人の教育データを一元的に管理することは全く考えていません