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スマートフォンの理想と現実

スマートフォンというコンセプトの陳腐化がはじまる?
OSの多様化を契機に日本勢に挽回のチャンスも
――2013年モバイル界展望【後編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第40回】 2012年12月28日
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 いよいよ年の瀬を迎えた。もう休暇を取られている方もいるだろう。しかしクリスマス休暇が明けた海外のモバイル業界では、年明け早々に米国ラスベガスで開幕するコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)での新しい商品の噂話でもちきりだ。

 しかし、それはそれ。性能をさらに高めた端末の投入は、前回も触れたとおり、誰しもが概ね見通せることである。そこで今回は、そうした動きの背景と、それらも包含した2013年の全体的なトレンドを、改めて占ってみよう。

チップ戦争はしばらく続く

 前回、スマートフォン市場が、ハイエンド(高性能機)とローエンド(普及機)に二極化することを挙げた。このうち、特に前者の動きの背景として、チップ戦争があることは、本連載でもこれまで再三触れてきた。簡単にまとめると以下の通りとなる。

 まず前提として、特にハイエンド向けチップの供給力が、市場全体で不足している。これは、最大手のクアルコムの生産能力に課題が生じているということと、世界的に需要が拡大するなかで需給ギャップが生じていること、そしてそれ以外の生産者がスマートフォンのトレンドに乗り遅れていることが、理由として挙げられる。

 こうした中、市場は調達規模の競争になっており、小規模の調達しかできない端末メーカーは、チップの供給を受けることができないという状況に陥っている。これは、グローバル展開に劣るため調達規模が小さくなる日本勢が、相対的に不利な状況に置かれているということの背景要因にもなっている。

 一方、現在スマートフォンのトレンドを作っているアップルが、どのようにチップを調達するのか。その動向が、市場全体に大きな影響を与えている。特にiPhone5などに現在搭載されているA6という最新鋭CPUは、現在サムスンが製造しているが、これが来春以降に他のチップメーカーに移るのか、サムスンが製造を継続するのかが、大きく注目される。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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